第23話『ごめんなさい』 ページ24
「え……やっぱり囲碁部には入れない？」
「っ、本当にごめんなさい……！」
私の言葉に目を丸くする筒井先輩に、私は勢いよく頭を下げて謝る。
__昨日。私は、佐為の囲碁を打ちたいという相手を見つけると約束をしてしまった。
ついでに、そのために私が囲碁をする時には佐為に身体を貸すという約束も。
身体を佐為に貸す時には私の意識が佐為の代わりに眠ってしまう。
つまり、囲碁中の記憶は皆無になるのだ。
そんな状態の私が囲碁部に入るのは色々とまずい。いや、まずすぎる。
ということで、私は放課後まで悩みに悩んだ末、泣く泣く部活に入るのを断るという結論に至った。
が、実際にこう本人を目の前にすると罪悪感で潰れそうになる。
あんなに囲碁部に真剣な筒井先輩に期待させるようなこと言っといて、昨日の今日なのに「やっぱり入部することはできません」なんて、冷やかしと捉えられても仕方ない。
私は申し訳なさに筒井先輩に顔を上げることができずにいると筒井先輩は「顔を上げて、文月さん」と私に優しい声色を投げかけてきた。
私は恐る恐る顔を上げれば、筒井先輩は怒った様子もなく穏やかな表情を浮かべていた。
「別にいいわよ、囲碁部に入部できないなんてこと」
「で、でも……」
「何か理由があるんでしょ？家族さんに反対された、とか」
「ち、違います！そういうんじゃないんですけど……」
「……言えないこと？」
「………っ」
私がキュッと口を噤む姿を見て「そっか」と笑う。
「気にしないで。確かに文月さんが囲碁部に入ってくれないのは残念だけど、でも文月さんを無理矢理入らせるのは違うと思うし」
「筒井先輩……」
「……でも」
筒井先輩はそう続けて、私の右手を握る。
「もしも、また入りたいって思ってくれる時があったら言って。大歓迎するわ」
「っ…！」
「ね？」
「は、はい……！もちろんです！！」
筒井先輩の言葉に大きく頷く私に筒井先輩は微笑む。
「よかった。その様子だと、囲碁自体に興味がないってわけじゃないのね」
「……はい」
むしろ囲碁に興味を持ち始めたところだったから、正直私もこんなことになるのは不本意この上ない。
けど、佐為の願いを断るなんて選択肢も私にはなかった。
だから筒井先輩の言葉は本当に嬉しかった。
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りむる - 続きがすっごく気になる素敵なお話でした！更新待ってます！ (5月14日 23時) (
レス) @page25 id: 85f3bd2ffd (このIDを非表示/違反報告)
漣 - すごい良かったです、続きがすごく気になります！ (2021年8月28日 22時) (レス) id: 264732fb4b (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - 最近ヒカルの碁を読了し、この小説を見つけました。全ての話がとても面白くて、単純に続きが気になります。更新待ってます。 (2020年1月3日 0時) (レス) id: 2ab9522383 (このIDを非表示/違反報告)
莉央 - ヒカルの碁面白いですね。よく観てました懐かしく思い本を借りて読んでます。続き気になりました。 (2018年3月30日 22時) (レス) id: 487e1672d0 (このIDを非表示/違反報告)
ミコト(プロフ) - 続きとても気になります！最新お待ちしております (2016年2月28日 23時) (レス) id: 26c314a162 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凡子 | 作成日時：2014年1月4日 0時
