第20話『変わった子』 ページ21
「お、進藤。はよ」
「あぁ、和谷。おはよ」
日本棋院の入り口前で、今日の研究会に誘ってくれた和谷と居合わせた。
「今日は遅刻せずに来られたみたいだな」
「はは…まぁね」
遅刻魔の進藤に和谷はニヤニヤと笑いながら揶揄する。
実は前に遅刻して森下先生にこっ酷く叱られたことがあったのだ。
ヒカルはそれに懲りて最近は遅刻しないように努めている。
「それよりさ、最近和谷調子いいらしいじゃん。連勝続きだって、昨日伊角さんから聞いた」
「あぁ。最近さ、結構閃きっつーの？そういうのが多くて自分でも驚いてる。そういう進藤だって、数年前の若獅子戦で塔矢に勝ってからぐんぐん棋力伸ばしてってんもんなぁ…。どんなに頑張っても離されていってる感じがして嫌になるぜ」
そうやってため息をつく和谷に進藤は「へへへ」と得意気に笑う。
当然だ。ヒカルにも追うべき背中がある。
止まっている暇なんてない。
自分の碁の中にある、もう1人の存在を消さないために、ヒカルはもっともっと強くならなければならない。
♦♦
「あ、進藤くん。おはよう」
森下先生の研究会がある部屋に入ると、そこにはもう既に他の門下生の冴木や白川達が集まっていた。
ヒカルがその部屋に入った時に一番最初に声をかけて挨拶をしたのは白川だった。
「おはようございます」
ヒカルも軽く会釈し挨拶を返すと、白川は「進藤くんにちょっと聞いてほしいことがあるんだ」と微笑む。
「聞いてほしいこと…？碁関連ですか？」
ヒカルは靴を脱ぎ、白川の近くに座ってそう尋ねると「まぁ、碁関連といえば関連なんだけどね」と煮え切らない返事をする。
「昨日ね、変わった子がうちの囲碁教室にやってきたんだ」
「変わった子……」
白川が教員を務める囲碁教室には、ヒカルも囲碁の�爐き瓩了�も知らない時に幼馴染と一緒に訪れたことがある。
「何かあったんっすか？」
和谷も気になったのか話に入ると、白川はその言葉に頷く。
「何か…ってほどでもないんだけど、その子進藤くんのファンって子でね。お姉さんと昨日うちの囲碁教室に来てくれたんだ。そこで僕もその子に囲碁を教えてあげたんだけど�爛轡船腑Ν瓩眞里蕕覆そ�の子だった」
シチョウ……それは、囲碁をやるにおいて基礎の基礎とも言えるものだ。
それを知らないということは、当時のヒカル同様初心者だったということがわかる。
第21話『謎の少女』→←第19話『ヒカルの覚悟』(ヒカルside)
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りむる - 続きがすっごく気になる素敵なお話でした！更新待ってます！ (5月14日 23時) (
レス) @page25 id: 85f3bd2ffd (このIDを非表示/違反報告)
漣 - すごい良かったです、続きがすごく気になります！ (2021年8月28日 22時) (レス) id: 264732fb4b (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - 最近ヒカルの碁を読了し、この小説を見つけました。全ての話がとても面白くて、単純に続きが気になります。更新待ってます。 (2020年1月3日 0時) (レス) id: 2ab9522383 (このIDを非表示/違反報告)
莉央 - ヒカルの碁面白いですね。よく観てました懐かしく思い本を借りて読んでます。続き気になりました。 (2018年3月30日 22時) (レス) id: 487e1672d0 (このIDを非表示/違反報告)
ミコト(プロフ) - 続きとても気になります！最新お待ちしております (2016年2月28日 23時) (レス) id: 26c314a162 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凡子 | 作成日時：2014年1月4日 0時
