億劫なほど/積田長幸 (ページ3)

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みえを張るのも億劫なほどページ3

朝が来た。
決して同居している３人が全員寝起きがいいかどうかと聞かれたら多分みんな寝起きは悪い。
一番寝起きが悪いと言ってもいい彼女が台所に立って朝食を用意するのを見るのも慣れてしまったが
フライパンで目玉焼きを焼きながら菜箸を持った手で目をこする彼女を見ると本当に今さっき起きたんだろうと推測できる。
あと目をつきそうなので菜箸を持ったまま目をこするのはやめてほしい。
彼女、言った通り寝起きが悪く起きてすぐはベットの上で20分ほどぼーっとしていないと意識が覚醒しない。
こちらに気づいておはようといいながら
珈琲の用意を始める彼女に顔を洗いに行ってくると伝え顔を洗う。
帰ってくるともう珈琲も朝食も出来上がっていた。
先に食べましょと言ってエプロンを外す彼女と時計を見ると時間は9時。いつもより少し遅めの朝食だ。
愚弟は未だ起きて来ていない。
朝食を食べ終えると彼女が見たいとわざわざ借りて来たホラー映画を観る。
彼女ホラーが大好きなのだが、仕事は小説家をしている。彼女の書くホラー小説は最恐だと言われ沢山の賞を取ったと聞いた。
俺様からすれば受けた依頼の仕事のほうがよっぽど怖えなと言うと目をキラキラさせて『やっぱまじで仕事ついていきたい！！！！』と言う。
ほんと相当な変わり者だ。
弟ちゃんと爬虫類が好きだと戯れてる時点で既に女にしては少し変わり者なのだが。
こう言うのもたまには悪くないなと思う反面
俺様の愚弟は一体いつまで寝てるつもりなんだ？と
1本映画を観終わって時計を見ると、もう11：30を過ぎていた。
まぁ昨日は爬虫類好きの仲間と飲みに行っていたと聞いているし俺様達が寝てから帰ってきたんだろうとは思うが流石に寝すぎだ。
彼女もそう思ったのか『あと2本あるけど先に剛保起こしてみよっか』
と立ち上がる。
そうだなと二人で愚弟ちゃんを起こしに行く。
案の定弟の部屋の扉を開けるとベットの上で大の字になってぐーすかいびきをかいている弟がいた。
頬を軽く叩きながら『お～い剛保起きろ～』と起こしている彼女なんて知らないかのように足で剛保の横っ腹を蹴る。
流石に痛かったのか「うぐっ…」と言いながら腹を抱える剛保と指をさしながらあっはっはと笑う彼女。優しいのか優しくないのかどっちだ。

「とっとと起きろよリトルブラザー」

「ありがとよビッグブラザー」
掠れた声で俺様を睨みながらそう言う弟ちゃんに
指をさしながら大爆笑する彼女が剛保にこのあとキレられたのは言うまでもない。