全部捨ててもいいよ。 (ページ11)

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10話ページ11

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事の発端は数年前。

｢松田元太です。よろしくお願いします｣

元太と私が初めて共演したSHOCK。

私と同じく数年前から出演してた松倉と仲が良かった流れで、自然と同世代の元太とも喋るようになった。

別に異性として好きだとか、そういう感情なんてなかった。

というか、私は仕事でそんな感情が生まれる人間じゃない。

元太だってそうだった、

そう信じてた。

なのにあの日。
千秋楽が終わった後、帰り道の路上でいきなりキスされて。

｢ねぇ、好きだよ｣

後付けのような、そんな言葉。

色々追いつかなくて頭が真っ白になる。

なにより、私のファーストキス、だった。

小さい頃から事務所で活動してきて、恋なんてもちろんしたこと無かった。
男に対する免疫ばっかりついて、経験なんかひとつもない。

恋なんかドラマの撮影でしかしないんだろうと勝手に思ってた。

それなのに、いとも簡単にはじめてを奪われて。

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