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黛「ここまで来ればもう大丈夫だろ」
黛に手を引かれて走ってたから、どこを通って今の場所にいるかわからない。
けどすぐ近くに4年の教室があるから、ここは東校舎の2階だと思う。
もちろん私の記憶が間違っていなければの話だけど。
先ほどの教室からはだいぶ離れたけど、この校舎には化け物がいるから立ち止まることは危険だと判断してゆっくりと歩く。
黛「大丈夫か?」
先を行く黛は私の方を見る事なく尋ねた。
貴『…うん大丈夫、走りは得意だし』
黛「違う。傷とお前自身のことだ」
貴『…傷は大丈夫だよ』
心の方は大丈夫じゃない。
あんなトラウマ物を見せられてまだ気持ちが落ち着かない。
今は深呼吸を繰り返し落ち着くのを待つしかなさそう。
黛「そうか」
貴『…黛、もう大丈夫だよ?』
黛「聞いた」
貴『…じゃあ、その…手…』
私はずっと黛の手を握っていたけど、今思えばなんだか気恥ずかしい。
黛はピタッと立ち止まり、ゆっくり振り向き私と黛を繋いだ手を見つめた。
黛「…嫌か?」
貴『え?』
嫌って、手を繋ぐこと?
嫌ではないけどなんだか気恥ずかしいとは思う。
不思議に思っていると、黛は何も言わずスルリと手を離した。
離れた手が少し寂しく感じる。
黛「ひとまず体育館に行くぞ」
寂しさを感じさせる暇はなく黛は言う。
貴『えっ、なんで』
黛「体育館に行くぞ」
貴『いや、せめて保健室で…』
黛「体育館に行くぞ」
同じことを同じ顔で言うからこちらが先に折れてしまった。
次の目的地もないわけだし、それに見つけた鍵やカードの事もあり、私は黛と一緒に体育館へ向かうことにした。
赤司君が私を敵視してないのは分かったけど、多分まだ私のことを良く思ってない人もいると思う。
そんな空気となった場所に行くのはなんだか憂鬱だ。
渋々だけど私は体育館に行き、赤司君から情報もらって保健室に行こう。
1人で決意を固めていたら…
黛「…周りのこと気にすんな」
貴『え?』
突然、黛が私の方を見ないで言った。
黛「お前が1人になることはねぇだろ。それに学校では…」
何かを言いかけて黛が急に黙ってしまった。
貴『黛?』
顔を覗き込むと、黛は少し難しい顔をしていた。
何かを考えるように、しばらく黙り込む黛の様子を私は見ている事しか出来ない。
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サイガ(プロフ) - 睡-スイ-さん» コメントありがとうございます。頑張って修正しますのでお楽しみにお待ちいただければと思います。 (2019年11月7日 22時) (レス) id: 9c794300d7 (このIDを非表示/違反報告)
睡-スイ- - サイガ様の脱出シリーズ、書作の更新時からずっと楽しく拝見させていただいてます!修正などって大変ですよね、再構成から入りますし…ゆっくり、サイガ様のペースで構いませんので更新、完成を楽しみにしています!! (2019年11月7日 11時) (レス) id: 471e0d1ff2 (このIDを非表示/違反報告)
サイガ(プロフ) - LiLiToさん» コメントありがとうございます。今修正を行っているため鍵付きにしております。 (2019年10月4日 7時) (レス) id: 9c794300d7 (このIDを非表示/違反報告)
LiLiTo(プロフ) - この作品の2と3が鍵付きなのですが解除パスってないのでしょうか? (2019年10月3日 5時) (レス) id: 41e08bc415 (このIDを非表示/違反報告)
CHIHO(プロフ) - 全然大丈夫です!ゆるりと気長に待ってます!! (2019年8月30日 9時) (レス) id: 6e1910104e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サイガ | 作成日時:2015年7月20日 22時