27 ページ28
とにかく行き着く先まで進もうと、行けども行けども出口なんて見つからない。
それでもなんとか黒子君を見つけようとしたが突然、ズボッと足元のダクトの底が抜けた。
貴『…本来なら人が通る場所じゃないもんね…』
これ以上進んでも何も得られそうになさそうだと判断し、少し進んで見つけた金網を足で蹴破った。
私の力で蹴破れるってことは、かなり脆かったんだろう。
ガシャンッ！と金網が下へ落下すると誰かの驚く声が聞こえた。
「うおっ！」
「な、なんだ！？」
近くに誰かいるのだろう。
真下じゃなくて良かった…。
安心の息を吐き、高さはそれなりにあったけど、ゆっくり降りれば着地には失敗しなかった。
「君は…」
近くにいたのはやっぱり体育館で見た人達だった。
3人とも青いジャージを着ているけど名前はやっぱり覚えてなくて誰が誰なのかわからない。
貴『…』
ひとまず頭は下げておいて、彼らがいる廊下とは反対の方向へと向かうため歩き出すと全身に激痛が走った。
着地には失敗しなかったが、無茶したせいで傷が開いたのだろう。
貧血症状が進んでいるのか、頭がフラフラで目の前が暗い。
元々照明少ないから暗いのだけど。
「だ、大丈夫！？」
タタッと急いで駆け寄り私に手を伸ばそうとする誰かの手を振り払った。
貴『大丈夫』
とにかく今はどこかで休もう。
ここで休むのは危険だろう。
壁にもたれながら立ち上がりゆっくりと歩く。
が、数歩もしないでズルズルと座り込む。
大分無茶をしてしまったな…。
「無茶はよくない。体育館まで運ぶから手当てを受けよう」
まだいたんだ。
なんで私なんかに優しくするんだろうか。
早く独りになりたい。
優しくしてくれなくていいから、どこかへ行ってほしい。
貴『…私の事なんて放っておいて早く逃げて。さっきの大きな音でバケモノが寄ってくるかもしれないでしょ』
「でも…」
貴『もっと大きな音出しましょうか？』
ただ1人になりたくてムキになっているだけだ。
「…行こう」
「早く体育館に戻って赤司っちに報告するッスよ！」
「…ああ」
パタパタと走って私から離れていく背中を横目で見つめた後に、大きなため息を溢し膝と額をくっつけ蹲る。
こんな性格の自分が嫌いだと、前にも思っていたような気がする。
でもいつ、どこでなんて覚えてはいない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サイガ(プロフ) - 睡-ｽｲ-さん» コメントありがとうございます。頑張って修正しますのでお楽しみにお待ちいただければと思います。 (2019年11月7日 22時) (
レス) id: 9c794300d7 (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ- - サイガ様の脱出シリーズ、書作の更新時からずっと楽しく拝見させていただいてます！修正などって大変ですよね、再構成から入りますし…ゆっくり、サイガ様のペースで構いませんので更新、完成を楽しみにしています！！ (2019年11月7日 11時) (レス) id: 471e0d1ff2 (このIDを非表示/違反報告)
サイガ(プロフ) - LiLiToさん» コメントありがとうございます。今修正を行っているため鍵付きにしております。 (2019年10月4日 7時) (レス) id: 9c794300d7 (このIDを非表示/違反報告)
LiLiTo(プロフ) - この作品の２と３が鍵付きなのですが解除パスってないのでしょうか？ (2019年10月3日 5時) (レス) id: 41e08bc415 (このIDを非表示/違反報告)
CHIHO(プロフ) - 全然大丈夫です！ゆるりと気長に待ってます！！ (2019年8月30日 9時) (レス) id: 6e1910104e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サイガ
| 作成日時：2015年7月20日 22時
