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あの頃見た水槽の中には、綺麗なエンゼルフィッシュが悠々と泳いでいて、いつも事務のおじさんがエサをあげていたのを隣で見ていた。
今は濁った水が入っているだけで生き物は何もいない。
観葉植物だって不気味なほどに枯れていた。
貴『…1からやり直せるなら、私はどこからやり直せばいい?』
枯れた葉に触るとボロボロと手の中で崩れる。
まるでお前には無理だと言われたような…。
初めから無理だって分かってる。
だけど、それでも私はもう一度…。
私はギュッと手を握り締め考えるのをやめた。
本来の目的である、玄関は開くのかを検証しようと引き戸の取っ手に触れたところで透き通ったガラス扉の向こう側に何かあるのに気づいた。
貴『…棺桶?』
見たところ棺桶が3つ、綺麗に並べられている。
こんなところに何のためにあるのだろうか?
調べてみたいけど、なんだかちょっと1人で外に出るのは危険そうだ。
まあ今後も私1人なのだが、今はリスク犯してまで調べたいとは思わない。
扉からゆっくり離れて引き返し、この近くの応接室で休むことにした。
そこを選んだのは単に職員室や校長室は鍵がかかって開かなかったからだ。
応接室の中は電気もついてなくて暗いはずなのに中が見渡せる。
ここで少し休もう。
奥まで入り棚の物陰に身を潜め、腕を組んでそのまま眠りに就いた。
******************
ドウシテヨ…絶対ユルサナイ…
聞こえて来た声にゆっくり目を開けた。
また同じ声…。
私は誰に何をしたのだろうか?
それが全く思い出せない。
でもこの声を聞いて最初はただわからないままでいたけど、今はなんだか悲しい気持ちになっている。
なんでだろう?
…さて、私はどれくらい寝てたのかな?
時計なんてないからわからない。
そろそろ移動でもしようかと思っているとガタッと物音が聞こえてきた。
「鍵は開いてるっすね」
「次はここだな」
ああ、体育館にいた誰かが散策でもしに来たのかな?
そう思って多分危険はないとすぐ移動するのをやめた。
私を探しに来たのか…。
ガラガラと少し建て付けが悪いようでつっかえながら扉が開く。
入ってきたのは名前の知らない少年3人。
火神君と、あとは誰だろう?
「あっ、さっきの人…」
1人が私の存在に気づいた。
ここ、死角なんだけどな…。
物陰から顔だけ出して一応頭を下げた。
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サイガ(プロフ) - 睡-スイ-さん» コメントありがとうございます。頑張って修正しますのでお楽しみにお待ちいただければと思います。 (2019年11月7日 22時) (レス) id: 9c794300d7 (このIDを非表示/違反報告)
睡-スイ- - サイガ様の脱出シリーズ、書作の更新時からずっと楽しく拝見させていただいてます!修正などって大変ですよね、再構成から入りますし…ゆっくり、サイガ様のペースで構いませんので更新、完成を楽しみにしています!! (2019年11月7日 11時) (レス) id: 471e0d1ff2 (このIDを非表示/違反報告)
サイガ(プロフ) - LiLiToさん» コメントありがとうございます。今修正を行っているため鍵付きにしております。 (2019年10月4日 7時) (レス) id: 9c794300d7 (このIDを非表示/違反報告)
LiLiTo(プロフ) - この作品の2と3が鍵付きなのですが解除パスってないのでしょうか? (2019年10月3日 5時) (レス) id: 41e08bc415 (このIDを非表示/違反報告)
CHIHO(プロフ) - 全然大丈夫です!ゆるりと気長に待ってます!! (2019年8月30日 9時) (レス) id: 6e1910104e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サイガ | 作成日時:2015年7月20日 22時