21 ページ22
バッと掴まれた手を振り払い扉を開けようとドアノブに手をかけると、ダンッと勢いよく顔の横に手が伸び扉を叩いた。
赤「そんな状態で何をする気ですか?」
貴『…』
振り向けば赤司君に壁ドンされていた。
こんな状況じゃなきゃ少しはトキメクのだろうか?
貴『得体の知れぬ奴の心配なんて止めた方がいい』
赤「だがカードには…」
カードに書かれてあった【あの子】が私だという確証はない。
私は赤司君の言葉を遮った。
貴『そんな信憑性のない紙切れを簡単に信用するものでもないよ。それに、なんでもかんでも信用するといつか壊れるよ、心が…』
ギュッと自分の二の腕を掴んだ。
簡単に人を信用するものじゃない。
私の経験上から言えることだ。
傷つくくらいなら最初から独りでいい。
独りだと裏切られた時の痛みを味わうことはない。
絶望することもない。
私はずっと孤独でいい。
チラッと視界に入った黛の姿。
何か言いたげだったけど何も聞かないで私は「それじゃあ」と後ろでは引きとめようとする声が聞こえたけど気づかないフリして体育館を出た。
いや、もしかしたら誰も引き止めてなんかないのかもな…。
あ、そうか。
赤司君が私を引き止めたのも本当はカードのことだけでなく、得体の知れぬ奴だから仲間を呼びに来るかもって思われたんだろうな…。
******************
体育館を出て少し長い廊下を歩く。
本調子でないため自分でもわかるくらい身体がふらついている。
めまいもするし足取りが悪い。
もう少し頑張って体育館から離れよう。
重たい身体を引きずり、どうか化け物と遭遇しないことを祈った。
しばらく壁つたいに歩くと、なんだか少し見覚えのある場所に来た。
貴『ここ…そうか、本館だ』
私の通っていた小学校は西校舎、東校舎、本館に分かれていて今、私がいるのは本館。
本館1階は職員室、校長室、応接室、事務室があったはず。
とりあえず玄関の方へ行ってみる。
出れないとは思うけどやってみないと気が済まないので一応開くかを試す。
玄関の方へ行くと小学校以来の懐かしいエントランスに出た。
顔を上げるとステンドグラスがキラキラと光っている。
私の小学校は玄関に靴箱がなく、各教室の前に自分の靴箱があるので朝登校してきても外靴のまま校舎に入り、教室に入る時はジューズに履き替えることになっている。
靴箱のない代わりにこのエントランスには校内案内やお知らせ、観葉植物、水槽がある。
105人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サイガ(プロフ) - 睡-スイ-さん» コメントありがとうございます。頑張って修正しますのでお楽しみにお待ちいただければと思います。 (2019年11月7日 22時) (レス) id: 9c794300d7 (このIDを非表示/違反報告)
睡-スイ- - サイガ様の脱出シリーズ、書作の更新時からずっと楽しく拝見させていただいてます!修正などって大変ですよね、再構成から入りますし…ゆっくり、サイガ様のペースで構いませんので更新、完成を楽しみにしています!! (2019年11月7日 11時) (レス) id: 471e0d1ff2 (このIDを非表示/違反報告)
サイガ(プロフ) - LiLiToさん» コメントありがとうございます。今修正を行っているため鍵付きにしております。 (2019年10月4日 7時) (レス) id: 9c794300d7 (このIDを非表示/違反報告)
LiLiTo(プロフ) - この作品の2と3が鍵付きなのですが解除パスってないのでしょうか? (2019年10月3日 5時) (レス) id: 41e08bc415 (このIDを非表示/違反報告)
CHIHO(プロフ) - 全然大丈夫です!ゆるりと気長に待ってます!! (2019年8月30日 9時) (レス) id: 6e1910104e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サイガ | 作成日時:2015年7月20日 22時