「イカサマカジノの悲運」＿01. ページ6
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「…………おい…」
「ん？」
「そろそろやめてあげたらどうですか？」
「えぇ〜？」
俺の言葉などすぐに忘れてしまったかのようなスムーズさで、「レイズ」とテーブルに着いているこの男は言った。チラリと対戦相手の男の顔を見るが、ポーカーフェイスなんてものはとっくに消え失せ、焦りと困惑が表情に出ていた。
そりゃそうだろう。イカサマまでしてゲームに勝とうとしているのに、自分が勝利したのはゲーム開始のたった一度だけ。あとは全て、俺の目の前で見事なポーカーフェイスを浮かべているこの男が勝利している。
俺は呆れながらアシンメトリーの茶髪の男──オスマン･ルヴィッチの手札を覗き込む。キングが2枚とエースが2枚の計4枚。おまけにそのうちの1枚が最強カードのスペードのエースときた。あぁ、ご愁傷さまだな。
「……あんた、もう十分稼いだでしょう」
「ふふ、だって、俺に運が味方してくれてるんやもん！」
「…運って……」
オスマンがテーブルに出した役を見て、対戦相手の悲鳴がまた上がる。もちろん彼が出したのはスペードのエース。相手のカードもダイアのエースと中々いいカードだが、この勝負はオスマンの勝ちだった。
「………相手のイカサマ利用してる奴が何言ってんの…」
「ん？なんか言った？」
「………いえ、…ナンデモナイデース」
オスマンは変わらずニコニコしていた。そのニコニコ顔で脅し文句を言うものだから、思わず口を閉ざしてしまう。
「さて、次のラウンドに移ろか？」
「…えっ！？いや、私は…もう…」
「ん？やってくよな？」
「っ、は、はい！やります！やらせて頂きます！」
相手はオスマンと自分のカード、そしてテーブルに伏せて散らばったカードを集めてシャッフルし始める。
あぁ、本当に哀れだな。カードの裏の模様にわざわざ表の数字や絵が何なのか分かるような印の着いたトランプを用意したってのに、それをワンゲームでオスマンに見破られ、挙句の果てには利用される。そして骨の髄まで金を巻き上げられているその対戦相手の姿は滑稽を通り越して無念である。南無阿弥陀仏、合掌。
俺はゲームテーブルから目を逸らして周囲を見渡す。
カジノ＿ミス･ハーベルギー。
それはこのディアグロース国最大のカジノである。一夜にして人の貧富の差を開く製造機で、全てがその日の運によって、人のその後の人生が変化する一攫千金の場。そして一歩間違えたら地獄の底まで突き落とされる人間の欲望の場でもある。
俺が何故オスマンとこんな場所に来る羽目になったのか。
それは遡ること数時間前、第3師団団長室での出来事の所為だった。
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灰月蓮也(プロフ) - 最終的に兄弟対決になってフィラが負けて「これで革命は終わりだ｡､､､ありがとう｡お兄ちゃん」って言って死んでくれたら僕が嬉しい｡性癖に刺さる｡大好きです｡ (2022年9月1日 21時) (
レス) @page5 id: c79d198a7a (このIDを非表示/違反報告)
AINAIN819(プロフ) - 続編ありがとうございます！！内容が深く面白くめちゃくちゃ好きです！これからも頑張ってください！ (2022年8月27日 9時) (レス) @page5 id: 774cbd6690 (このIDを非表示/違反報告)
しきれさん(プロフ) - 続きだ…！！めっちゃ嬉しいです！更新頑張ってください！！！！ (2022年8月25日 23時) (レス) @page5 id: bb34574bf7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまやみ。 | 作成日時：2022年8月25日 10時
