最愛のリグレット。【Kazunari.N】2 (ページ9)

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いつも教室の中から眺めてたこの景色は

いつの間にか、私の今を作る全てになっていて

ここにセンパイが居て

それを眺めることが出来たらそれだけで

満足だった。

それ以上は

望んでいないつもりだった。

だけど、

センパイと話すようになって

顔も名前も覚えてもらえて

こっちを見て、笑って貰えるまでになって

きっとどんどん、欲張りになってたんだなぁ。

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知らない間に、憧れだけじゃない気持ちが

大きくなってたんだなぁ。

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｢…センセイ｣

和｢ん？｣

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｢大切な人の大切な人が、私にとっても大切な人だったのに、｣

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｢…胸が、苦しくて仕方ないのは…どうしてですか？｣

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｢…わたし、…大好きなのに…雨芽ちゃんのこと、大好きなのに｣

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センパイが雨芽ちゃんを抱き上げたあの時、

…すごく、嫌だって思った。

初めて名前を呼んでくれた理由が

雨芽ちゃんと仲がいいからだって知った時、

胸がズキズキ痛んだ。

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｢…見ないようにしてた汚い心が、追いかけてくるんです｣

和｢…｣

｢逃げても逃げても、襲いかかってくるんです…｣

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どう見ても、2人は想い合っているのに。

最初から、私の入り込める隙間なんて無かったのに。

声を掛けられて、名前を呼ばれて、

眺めるだけで満足して。

馬鹿みたいに小さいことに一喜一憂していた自分が恥ずかしい。

何もしないでセンパイの絵に一方的に救われてきたくせに

あの絵が全部雨芽ちゃんのためだったって知って

一人前に嫉妬してる自分が浅ましい。

今なら分かる。

センパイはこの場所から

雨芽ちゃんの演奏を聴いていたんだ。

センパイが作り出すあの世界は

他の誰でもない、雨芽ちゃんへの想いから生まれたんだ。

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それに何一つ気付かず

この景色に甘えていた自分が

ひどく、情けなく思えた。

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｢…センセイ、私…消えちゃいたい｣

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思わず零れた自分の弱々しい声に驚いたその時、

上からガッて大きな物音がして

すぐ隣に着地した気配と同時に

目の前が一気に

明るくなった。

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