◆.｡49 ページ2
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智｢…座る？｣
｢…あ、ありがとうございます｣
センパイの隣に置いてある丸椅子に腰を下ろして
こっそり盗み見した横顔は
ただじっと、雨芽ちゃんを見つめていた。
｢…｣
思えばこの時確信したんだ。
センパイの、雨芽ちゃんを想う気持ち。
私の想像は
間違いなんかじゃないと。
…だからかな。
｢…センパイと雨芽ちゃんって、知り合いだったんですね｣
驚くほど自然に
そう言っていた。
.
智｢…ごめんね、黙ってて｣
｢…いえ｣
智｢雨芽も俺のこと何も？｣
｢…はい｣
智｢…そっか｣
センパイの掠れた声が
静かなこの場所に小さく響く。
智｢…幼なじみ、なんだ｣
｢え…｣
智｢って言っても遊んでたのはほんとにガキの頃だけで、今は全然なんだけど｣
優しそうな目尻をシュッと下げて
センパイは
ちょっとだけ寂しそうに笑いながら
雨芽ちゃんとの思い出を話してくれた。
.
智｢雨芽は小さい頃から身体が弱くて、よく入退院を繰り返してたんだ｣
智｢ある流星群の夜、雨芽が病院抜け出したいって言ってさ、2人でこっそり抜け出したことがあって｣
智｢…だけどその帰り道、雨芽が倒れちゃって、幸い命に別状はなかったんだけど、雨芽を危険な目に合わせたことにうちの親が大激怒して…｣
智｢…そっからかな、雨芽と会わなくなったのは｣
｢え、そんなに会っちゃダメって言われたんですか？｣
智｢いや、親には暫くって言われてたんだけど、…俺自身が会わないようにしてた。多分親に言われてなくても雨芽には会いにいかなかったと思う｣
｢そんな、…どうして｣
智｢…｣
智｢…雨芽が倒れた時俺なんも出来なくて、探しに来た病院の先生に抱えられて運ばれてく真っ青な顔した雨芽を、ただ怯えながら見てたんだ｣
｢…｣
智｢あの時の光景と、ただただ自分が無力だって思い知った時の気持ち、今までだって一度も忘れたことないよ｣
膝の上で握った手にぎゅっと力がこもって。
どんな思いであの時センパイは雨芽ちゃんを運んでいったのかって思ったら
胸が張り裂けそうだった。
智｢その後も家が近所だから時々見かけることはあったけど、話しかけることはなかった。ただ、雨芽が元気になってよかったって、それだけを思ってたんだ。｣
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skomiya0617(プロフ) - 更新頑張ってください (2020年6月14日 13時) (
レス) id: 8e4b334675 (このIDを非表示/違反報告)
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