【銀魂】最強少女も彼の前では最強でなくなる。

65* ヒーローです ページ17

笠を深くかぶった高身長の男。
　所謂モブなのだろうが、なにせ突然の事に驚いて恐ろしく震えていた。



「……お名前は？」


「っ、知らない人に…名前なんて教えません、」


「おや、友達の友達は友達でしょう？」


「っ、誰が友達ですか！」


「……高杉、晋助。―…よくご存知でしょう？」



全くもって聞いたことのある名前。
　嫌味のない目の前の顔を見て、大人しくAは自分の名前を教える。



「―…やっと巡り合えた。やはり貴方でしたか」


「……やっと？ それって…？」


「晋助様が、貴方を捜していたのです
私はその命で連日江戸に出ていました」


「……それじゃ、人斬りは、」


「―…勿論私ですよ。……あぁ、斬ったのは、人違いだったからです。貴方じゃ、なかった」



狂気とも取れる佇まい。
繰り返されていた人斬りは、全て自分のせいで起こっていたのだ。



「目的は、何ですか」


「些細な事ですよ。……私達はもうすぐ江戸を出ます。
晋助様は貴方を欲してらっしゃる……貴方も、一緒に連れて行きたいのです」


「……もし、断ったら？」


「――気絶させても、連れて来いとの事です」



チャキ、


鞘から刀を抜いた。
身の危険を感じて、端から飛び降りる。

足場の悪い川へ見事に着地すると、相手もすかさず降りてきた。


これは、やばい。本格的に、やられる。



ザバッ



そこそこの速さで、相手が間合いを詰めて刀を振りかざす。

剣身は、こちらを向いている。慌てて避ける。


尚、もう一度構えてこちらに向かう刀を宙返りして避けると、重たくなったローファーを顔面めがけて投げた。

綺麗に当たって、男がよろめく。



「普通の女じゃないと聞いていたが、まさか戦えるとは…」


「ま、まぐれ…！」


「いいでしょう。少し遊んでみたいのでね…！」



もう一度、長い刀を振り下ろす男。
それを避けるA。

ひらひらとスカートが揺れて、男が微笑んだ。



「動きは俊敏でも…やはりその顔に相応しい下着を履いてらっしゃる」


「……は？」


「黒の…は、な、が、ら」


「……っっ！」



動揺して、一瞬よろめいた。
その隙を逃さず、壁を刀で突き刺す男。

顔面すれすれに刺さったそれに、一気に体は固まった。



「……さ、大人しく行きましょう」


「……た、すけて、」



刀を抜く。

刀身がこちらを向く。



「助けて、神さま、ぁ…！」








「――そこは、総悟って言う所だろィ」





――目の前は、栗毛一色。

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