狂犬 29 ページ17
どうして、ここまで来てる?
あれほど待ってろって言ったのに…。
だけど、ここへ来てくれた事がとても嬉しくなった。
高「Aちゃん!」
高尾の顔を見た瞬間、安心して起こしていた半身が高尾にもたれ掛かるよう倒れる。
体力にも限界が来ていて、しばらく1人で動けそうもない。
高尾の他に虹村さん、花宮さん、青峰、赤司がいる。
高尾と虹村さんと青峰は真っ青な顔をしているな…。
貴『なんで、待ってなかったんだ…』
高「Aちゃん!俺言ったよね!?無茶はしないでって!」
さっきまで真っ青な顔してたくせに、今度は顔を真っ赤にして私に怒っている。
表情がコロコロ変わるから高尾は面白い。
高尾は私の背中を支え、半身を起こしてくれていた。
握りしめてくれる高尾の手はとても暖かくて安心する。
あ、高尾の手、震えてる。
私がこんな血まみれで、驚かせてしまって申し訳ないな。
貴『これでも、マシな方だけどな…。悪かった』
赤「神楽坂、もう喋らなくていい。止血するぞ」
赤司が自分のTシャツの裾を破き、包帯代わりにした。
貴『うっ!』
傷が触れる度激痛が走るが、止血のために堪えた。
貴『は、ははは。ありがとう、赤司。…すいませんね、花宮さん。目の前でくたばって…』
花「そんな事言ってる場合かよ!」
柄にもなく花宮さんが心配してる様子が見れた。
きっと明日は槍の雨が降るんだろうな…。
虹村さんが謝り野郎の意識を確認し、青峰が担いだ。
これで謝り野郎も民宿へ戻れる、安心した。
貴『これ、で、戻る約束は…守りまし…たよ…』
私はそこで意識を手放した。
*********
ふと、生きた人の気配が多くてなんだか落ち着かなくなった。
話し声も多い。
ゆっくりと目を開ければ、どこかで見た天井が写っていた。
ここは一体どこだろうか?
高「Aちゃん!」
名前を呼ばれて首だけを横に向ければ、すぐそばに高尾がいた。
ああ、そうか、ここはまだ霊界か…。
高尾はずっと隣にいてくれてたんだろうか?
高尾の後ろにはちらほらと、こちらを心配そうに見守る人がいる。
どうやらここは民宿の中で1番広い部屋のようだ。
貴『私は、どれくらい、眠っていた?』
高「え?あ、多分…1時間…」
そんなに時間を無駄にしてしまったのか…。
それにしても不思議だ。
酷い傷に、酷い流血だったのにまだ死んでいないという事は、赤司が適切に応急処置してくれたおかげだろう。
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レイ - 完結おめでとうございます。続編楽しみにしています。 (2019年1月2日 19時) (レス) id: d739f229f9 (このIDを非表示/違反報告)
神代(プロフ) - 完結おめでとうございます!本当に素敵な物語でした!気まぐれ彼女も楽しみに待っています! (2017年11月17日 13時) (レス) id: f49ce96779 (このIDを非表示/違反報告)
如月レン - 完結、おめでとう御座います。最後は、少し涙が出ました。更新、お疲れ様でした。続編、今から読みます。 (2016年8月19日 17時) (レス) id: 84fcaaee34 (このIDを非表示/違反報告)
たにやん(プロフ) - 完結おめでとうございます。いつも楽しみに読ませてもらってました。続編、期待しています! (2016年8月12日 0時) (レス) id: 5939541d69 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 「気まぐれ少女」の完結おめでとうございます!!サイガさんの作品はどれもおもしろいので、いつも更新されるのを楽しみにしています!!気まぐれ彼女も更新頑張って下さい。ファイトです(*^_^*) (2016年8月10日 13時) (レス) id: 8ed0b679fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サイガ | 作成日時:2016年7月11日 20時