# 55 Tatsuya.F ページ7
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ノック音が聞こえて、Aさんを招き入れる。
やけに自分の心臓の音がうるさくて、緊張しているのが俺らしくないと思った。
久々に添い寝してもらうからだろうか。
それとも、これから自分の重い過去を話そうと思っているからだろうか。
もぞもぞとベッドに入るAさんを目にとめてから、そっと電気を消した。
自分もそっとベッドにもぐりこむと、少し体を硬くしたAさんに気付いた。
もしかして、緊張してるのか。
俺だけじゃないと思ったら、少し嬉しかった。
「ほら、見て。今日は月、すげぇ綺麗じゃね？」
なんとなく、お互いの緊張を解したくて出窓の先に浮かぶ月を話題に出す。
「ほんとだ……。このシェアハウス、部屋から月が見えるのすごくいいよね」
嬉しそうな声色のAさんに、俺の心臓も少しだけ落ち着いてくる。
やっぱり、癒される。
Aさんの温もりを感じると、自然と眠気がくる。
もう、一人で眠るなんて考えられないくらいに。
「ね、Aさん」
「……ん？」
もぞもぞと寝返りを打って俺と目を合わせた。
いつも暗い部屋の中は、月明かりでお互いの表情をしっかりと映し出す。
「……どうしたの？」
Aさんに、嫌われたくない。
「……いや、なんていうか」
決心が揺らぐ、別にすべて話す必要なんてないんじゃないか。
過去を知らなくたって、何も変わりはしない。
例え、不眠症が完治しない理由だとしても、俺はこの人が隣にいれば……。
「また、高校の時みたいに名前で呼び合いたいなって」
「ふふ、そういえばまだお互い苗字呼びだね」
咄嗟にその場しのぎの話題で繋ぐ。
今日、照がAって呼んでたから。
二人に置いていかれたくなくて、そんなことが頭を過ったのは確かだ。
「じゃあ、おやすみ。辰哉くん」
「ん、おやすみ……A」
過去を話そうと覚悟したのに、言えなかった。
少し胸に引っかかりを感じながらも、俺はそれを無視して微睡む世界に目を閉じる。
俺は今でも、十分幸せなんだ。
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サイ(プロフ) - あんこさん» はじめまして！コメントありがとうございます◎ぜひぜひ主人公になったつもりで楽しんでもらえると作者も嬉しいです(^^)気まぐれ更新でお待たせしてしまうことも多いですが、これからもよろしくお願いします(*^^*) (8月24日 19時) (
レス) id: 0e52adef77 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - はじめまして！丁寧でわかりやすい描写で、とても物語に入り込んでしまいます。主人公になったつもりでキュンキュンさせていただいています。続きも楽しみにしています(*^^*) (8月24日 6時) (レス) @page16 id: 2624fdfcff (このIDを非表示/違反報告)
サイ(プロフ) - みるくプリンさん» 初めまして、感想ありがとうございます。色々と嬉しいお言葉をいただけて、更新の励みになります。更新速度は亀ですが、これからもキュンキュンさせられるように書いていきますので、よろしくお願いします(^^) (2023年3月21日 14時) (レス) id: d16d5812c3 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - 初めまして！実は、現実の彼等は良く知らないんですが、素敵なお話で一気読みしました。とってもキュンキュンして、ヤバいです(笑)これからも作者様のペースで更新頑張って下さいね。続きを楽しみに待ってます💕 (2023年3月20日 19時) (レス) @page1 id: 49fc610c53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サイ
| 作成日時：2023年3月19日 12時
