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side 翔
智くんからの初めてのお願い。
それを聞く為の行動は早かった。
兄さんたちに相談して村の家を１つ譲り受けた。
５人で住める広めの家。
それは奇しくも智くんの家だった。
古い家だが確かに広かった。
しかもリフォーム前なので俺たちの意見を聞き入れてもらえる。
そして俺たちが住む家に一番近い家……を工房兼カフェに改装する。
選んだそこは元々、潤の家。
こんなに近いのに気付かなかったのは智くんが５歳から別の場所に幽閉されたからか。
潤はショックを受けてたけど。
潤自身７歳くらいだから記憶になくても仕方ないだろう。
確かに俺たちの後を付いて回る小さな子が弟妹を含め何人かいた。
その中の１人が智くんだったんだね。
巫女様だとは知らなかったんだろう。
いつの間にかいなくなって俺たちの記憶からも消えていた。
辛かったであろう幼少期。
広さと間取りを見る為に村に戻った。
この家に僅かに残る家族との記憶。
その中を歩いていると智くんは時々立ち止まり懐かしさに目を細める。
まだ智くんの部屋はなくてお父さんとお姉さんに挟まれて寝てたって。
懐かしそうに教えてくれた。
智くんの希望と思い出を優先して皆の意見を聞いてどんな風にリフォームするか話して決める。
大まかに決まったら今度は潤の家に向かう。
向かう途中、和が智くんに優しく尋ねた。
「智は何かしたい事ある？」
「……わかんない」
ただひたすら村の為、村人の為……言われるがまま願いを聞いてきた。
それが自分の使命だからと。
その村がなくなった今、何していいのかわかんないよな。
「ゆっくり考えような。
時間はたっぷりあるし」
和の笑顔に智くんもつられるように微笑む。
この穏やかな時間がこれからずっと続くんだ。
「こっちの家はどうすんの？」
「こっちはカフェしようかなって。
俺、管理栄養士と調理師も取る。
で、ここに来た人や下の町の人とかに癒しの時間を提供したいんだ。
ただこんな大きい店はいらないから何割かは智が何か作るなら、その工房にしていいと思ってる」
俺が聞くと潤が答えた。
そう、近くにもう一件欲しいと言ったのは潤だ。
なるほど、そういう事か。
「じゃあさあ、アクアリウム置いていい？
俺、その資格も取ろうと思ってんの。
ここに置く水槽の世話は勿論するし、後ネットだけど注文受けてそこに置きに行って定期メンテナンスとかしようかなって思ってる」
雅紀からも提案が出た。
そんな事考えてたのか。
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蒼羽(プロフ) - ふーちゃんさん» コメントありがとうございます。はい、完全現実逃避のための作品です。浮気する気力もなく細々と姿は勿論、影すら見えない担を待つ時間を潰すのに書いてます。復活を信じて……今後ともよろしくお願いします。 (7月30日 17時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
ふーちゃん(プロフ) - 初めまして。幾つかの作品を読みました。こんな風に想いを小説に昇華させて、彼らの帰りを待つ方が居るなんて。時折ひどく彼らを求める自分が居て、持て余す自分がいます。なので彼らに出会える作品は大切に大切に読ませて頂きます。 (7月30日 11時) (レス) @page50 id: e3499cb720 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - ともさん» 作品毎にコメントありがとうございます。本当に嬉しいです。設定は暗めが多いんですけどね、話は何故か重くもシリアスにもならなくて……自分の文章力のなさが恨めしいです。それでも書くのはやっぱり楽しくてこれからもネタがなくなるまで頑張ります。 (2021年2月17日 22時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 悲しくて辛い智くんの過去と現実。でも、4人と再会して「智」として生きていける事の喜びと幸せがとっても嬉しかった。穏やかな日々がずーっと続きますように(｡>人<) (2021年2月17日 17時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年8月15日 2時
