34 ページ34
水神様が俺たちが作ったお守りの精霊をアクセサリーに変えた。
何故？
『己の精霊でないのでな、体内に入れられぬ。
かと言って付いて回る事も出来ぬ。
しかしこうして身に付けておけば何かあればお前たちの思惑通り動くであろう』
そうか。
自分の精霊は自分の体内に入れておけるけど智にそれは無理なのか。
霊感の強い人には見えたりするから、あんなにわさわさ付いてたらびっくりするよな。
普通じゃない姿形の鳥らしきものや空飛ぶ魚とかあり得ない。
だからアクセサリーにして身に付けさせて何かあれば智を守ってくれるようにしてくれたんだ。
水神様も結構、智が好きだよな。
『そうそう、心変わりすれば印は消える。
そうなればどうなるか……わかるな』
「あり得ないよ、俺が心変わりするなんて」
何言い出すかな、水神様は。
『逆もまた然り……』
智の心変わり？
そんな事……
「させないよ」
ライバルは多いけど。
ずっと一緒に生きて行くんだ。
「じゃあ、行ってくるね、水神様」
『気を付けてな。
伴侶と印は結んだが我の力にも限度がある』
「わかってる。
いつもありがと。
大好きだよ、水神様」
………目下のライバルは水神様か？
でも、大好きって言ってチュッてキスしてるけどあっさり帰るんだ。
水神様が湖の中に戻って行くのを見送って智は戻って来た。
そんな智に手を差し出すと嬉しそうに微笑んできゅっと俺の手を握った。
そのまま皆の所に行く。
「智くん、もういいの？」
「うん、もういいの」
翔さんに問われてあっけらかんと返す。
智がそういうのならと皆で帰る事になった。
そして明後日、今わかる最後の目的地へ向かう。
残る村人は２人。
「智、一緒に寝よ」
「じゃ、その前に俺と風呂入ろう」
昼食は途中で漁港近くの食堂で智が大好きな海鮮を食べ、買い出しも済ませて家に辿り着いたのは夕方だった。
帰り付くなり和と雅紀が宣言する。
……いや、わかるよ。
ずっと俺と智が伴侶になる為に譲ってくれてたからね。
無事に伴侶になれたから、もういいだろうって事だろう。
でも毎日やってた事がなくなるのって寂しいんだけど。
って言えないよな。
皆そんな気持ちで俺に譲ってくれてたから。
わかってるんだけど……寂しいぞ。
智は他の皆と絡むのが久し振りで喜んでいる。
伴侶になってもいいくらいには俺の事、好きなんだろう。
でも皆の事も好きなんだよな。
俺と皆との差って目に見えないのが口惜しい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼羽(プロフ) - ふーちゃんさん» コメントありがとうございます。はい、完全現実逃避のための作品です。浮気する気力もなく細々と姿は勿論、影すら見えない担を待つ時間を潰すのに書いてます。復活を信じて……今後ともよろしくお願いします。 (7月30日 17時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
ふーちゃん(プロフ) - 初めまして。幾つかの作品を読みました。こんな風に想いを小説に昇華させて、彼らの帰りを待つ方が居るなんて。時折ひどく彼らを求める自分が居て、持て余す自分がいます。なので彼らに出会える作品は大切に大切に読ませて頂きます。 (7月30日 11時) (レス) @page50 id: e3499cb720 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - ともさん» 作品毎にコメントありがとうございます。本当に嬉しいです。設定は暗めが多いんですけどね、話は何故か重くもシリアスにもならなくて……自分の文章力のなさが恨めしいです。それでも書くのはやっぱり楽しくてこれからもネタがなくなるまで頑張ります。 (2021年2月17日 22時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 悲しくて辛い智くんの過去と現実。でも、4人と再会して「智」として生きていける事の喜びと幸せがとっても嬉しかった。穏やかな日々がずーっと続きますように(｡>人<) (2021年2月17日 17時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年8月15日 2時
