26 ページ26
それはそれは見事な顔の濃いマーメイドがいた。
２つの山でそんな予感はしていたが……
「なんなのこのクオリティ」
しかも無駄にクオリティの高いナイスボディ。
絵本の人魚が付けている貝殻のブラジャーなのだろう。
山の上に小さな貝殻が１つずつぽつんと乗せられている。
これは……ブラジャーではないだろう。
どう見てもその下の隠すべきそれそのまんまではないか……
絶句しながら砂を落とす為に海に向かう。
その後を４人もついて行き、いきなり水のかけあいが始まる。
砂を落とすのを手伝うと言う大義名分の元、潤に水が集中する。
近くに寄って来ていた智を捕まえ盾にするがかける相手が潤から智に変わっても関係なく水の応酬は止まらない。
結局そのまま５人で日が傾き出すまで遊んだ。
別荘に戻ってシャワーを浴びて着替えると智は釣り道具を持って潤をお供に嬉々として岩場に向かった。
残った３人は雅紀の指示の元、野菜を切ったり肉を準備する。
下拵えが終わってテラスに備え付けのグリルに薪をくべ火をつけようとした時、不意に翔の携帯が鳴った。
「あれ、潤からだ。
なんかあったかな？」
『翔さん！
智が海に落ちて……助けたけど意識なくて』
潤の切羽詰まった声がした。
「直ぐにそっちに向かう。
息はしてるんだな？
頭とか傷はないか見て。
携帯はこのまま繋いどけ」
翔が直ぐに潤に指示を出しながらニノを見る。
その視線を受けてニノが携帯を手にする。
その横で雅紀が走り出した。
その後を電話しながら２人が追う。
途中ニノは繋がった電話を翔に渡した。
翔は電話の相手……救急に状況と住所を説明する。
岩場の手前の砂浜で今にも泣きそうな顔で潤は智を抱き締めていた。
「大丈夫だ。
救急車は呼んだ。
息はしてるんだろ。
びっくりして寝てるだけだよ、きっと」
翔が潤の肩を抱き優しく声をかける。
「何があったか詳しく話せる？」
「……ん」
潤は時折辛そうに顔を歪めながら説明をする。
翔が言った通りよく釣れた。
そろそろいいかと潤は先に帰り支度を始めていた。
智は最後の１回に集中していた。
掛かったと声が聞こえた。
大きいとも。
すげぇ引きだ！
と楽しそうな声が聞こえた次の瞬間、大きな音がした。
振り向くとそこに智の姿がなかった。
海を見るが智の姿がない。
暫く辺りを見回していると見覚えのある帽子が浮かんで来た。
智が被っていた帽子だった。
潤は迷わず海に飛び込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼羽(プロフ) - ともさん» ありがとうございます。なんか設定が暗くて重いのが多いですね……なのにどシリアスになりきらない文章力のなさが申し訳ないです。トホホです。それでもめげずに書いて行きたいと思いますので、お付き合いよろしくお願いします。励まされ頑張れます。 (2021年2月12日 17時) (
レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 終わってしまった。今回のお話も前回のお話同様…頭の中で構成図を組立ててそれを頭に叩き込みながら拝読させてもらいました(笑)皆…重く辛い過去を持ちつつも苦しみを分け合い支え合う姿に心を奪われています。とても素敵なお話をありがとうございました。 (2021年2月12日 15時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - あいさん ありがとうございます。お返事が遅くなり大変申し訳ないです。コロナに振り回されて小説書くだけでコメントまで手が回りませんでした。いつ終わるのか……外に出れない皆様のささやかな時間潰しが出来ればと頑張ります。 (2020年4月3日 14時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - こんばんわ、楽しく読ませてもらってます(^o^)これからも楽しみにしてます☆ (2020年3月20日 20時) (レス) id: 836a232359 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年3月19日 20時
