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「ちょっと遠くに行ってたね」
優しく微笑む人。
人を……親すら信じられなかった自分を優しく抱き締めてくれる人。
「ニノはニノだよ。
ニノの好きに生きたらいい。
俺はニノの事、大好きだよ」
「俺も〜。
ちょっと生意気で口悪くて意地悪もするけど大好きだよ」
それ誉めてないだろ……そんな突っ込みも今は胸に痛い。
それで好きってどんだけマゾなの？
頭の中に浮かぶ突っ込みも声にならない。
そんな自分を好きって……
なんでそんな風に言えるの？
自分の事は嫌いじゃないけど、素直になれない自分は嫌い。
でもどう言えばいいのかわからない。
ずっと自分を隠して生きて来たから。
「言いたい事言っていいんだよ、そこに想いがあれば……」
体は同じくらいの大きさなのにこの人の心は驚く程広い。
何も持ってないって言うけど持てないくらい溢れている想い……
この人がたった１人で生きていた年の頃、自分はまだ親を信じていた。
まだ幸せだった。
その後気付いた現実が悲しかった。
切なかった。
苦しかった。
誰にも言えず全てを自分の胸の内に押し込めた。
そうすれば回りは平和だ。
それを壊す勇気がなかった。
この人に助けられ、探して探して探して……漸く見つけてお礼のつもりが潰れてここに連れて来られて……変わった。
変わっていいんだと教えてくれた。
自分を偽らなくていいんだと教えてくれた。
本音をさらけ出せない家だったけど、あるだけマシだと思った。
自分は返せてなかったけど、両親も弟も妹も自分を愛してくれていた。
そんな事に気付かせてくれた。
母親が事故で亡くなった。
その半年後、新しい母親が来た。
「和也にはまだお母さんが必要だろ」
父親の優しい言葉に優しい新しい母親。
まだ小学校に入学したばかりに亡くした母親。
父親と２人の生活は確かに大変だった。
家事が得意な新しい母親は正直有り難かった。
父親と２人の時はほぼ惣菜や弁当だったから。
母親を亡くした事は悲しくてどうしようなかったけど、新しい母親の事は直ぐに大好きになった。
父親の言う通りまだまだ母親が必要な年だった。
母親が出来た直後、弟も出来た。
暫くして妹も……
幸せだった。
何も知らなかった頃は。
大きくなって卒業文集を作るにあたって小学校時代を振り替える。
そして気付いた。
母親が来て弟が程なく出来た日数の短さの意味……
何も知らず気にせず母親に懐いた。
直ぐに出来た弟が可愛くて仕方がなかった。
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蒼羽(プロフ) - ともさん» ありがとうございます。なんか設定が暗くて重いのが多いですね……なのにどシリアスになりきらない文章力のなさが申し訳ないです。トホホです。それでもめげずに書いて行きたいと思いますので、お付き合いよろしくお願いします。励まされ頑張れます。 (2021年2月12日 17時) (
レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 終わってしまった。今回のお話も前回のお話同様…頭の中で構成図を組立ててそれを頭に叩き込みながら拝読させてもらいました(笑)皆…重く辛い過去を持ちつつも苦しみを分け合い支え合う姿に心を奪われています。とても素敵なお話をありがとうございました。 (2021年2月12日 15時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - あいさん ありがとうございます。お返事が遅くなり大変申し訳ないです。コロナに振り回されて小説書くだけでコメントまで手が回りませんでした。いつ終わるのか……外に出れない皆様のささやかな時間潰しが出来ればと頑張ります。 (2020年4月3日 14時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - こんばんわ、楽しく読ませてもらってます(^o^)これからも楽しみにしてます☆ (2020年3月20日 20時) (レス) id: 836a232359 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年3月19日 20時
