1 ページ1
よりにもよって台風の最中に地震なんて勘弁してくれと皆、心の中でぼやいた。
ぼやきながらも緊張が走る。
どうする？
「皆、無事？」
「大丈夫？」
突然、扉が開いてクイーンとジャックが入ってくる。
「全員、怪我ないか確認して」
「今日休みの奴いる？」
２人の言葉に全員が回りを見回し確認する。
「出勤者、全員無事です」
「休みは２人で、寮で寝てる筈です」
智と雅紀は顔を見合わす。
「俺、見てくる。
雅紀、ここ頼む」
「駄目だよ。
１人じゃ危ないから一緒に行く。」
「わかった。
皆はナンバーズの部屋に移動してオーナーの指示を待ってて」
言うなり２人は部屋を飛び出して行った。
守衛室で懐中電灯を借りて外に出る。
外に出ると風がまだまだ強かった。
「智、手を繋ごう」
木々に遮られマシなのだろうが、軽い智が飛んで行きそうで雅紀が声とともに手を差し出す。
その手を智も素直に握る。
しっかりと繋いで走り出した。
途中、出会ったガーディアンに状況を確認する。
「どうなってんの？」
「土砂崩れでウェイター寮が流されたようです」
「……！！」
「寮に２人残ってる。
直ぐに安否確認して！」
「了解」
隊員は慣れた足取りで走って行く。
その後を２人も追う。
向かった先で見たものは……
店から一番遠くにあるウェイターの寮が完全に流されていた。
一度は止まった足だが智は直ぐに駆け出した。
頭の中で今日出勤していない者を思い浮かべる。
思い出した彼らの寮の部屋の位置も思い出す。
「2階の山側中央と３階の裾側右の部屋にいる筈だから探して！」
「「はいっ」」
足元が崩れ斜めになった建物の３階へと向かい、空を向いているベランダのサッシを蹴破ろうとした。
「退いて、俺が蹴る」
雅紀が智を退けて蹴る。
「智はガーディアン連れてもう１人の方へ行って。
山側だから下になってる」
「わかった」
智はさっと身を翻し近くにいたガーディアンに雅紀を手伝うのと自分について来るよう声を掛ける。
2階の真ん中の部屋にサッシを指差し隊員に蹴破ってもらい一緒に中に入る。
建物が足元を救われ倒れているので床が斜めになっている。
壁を滑り廊下へ向かう。
廊下に出ると向かいの部屋の扉を数人の隊員と蹴破り中に入る。
「おーい、無事か！
助けに来たぞ！」
寝室であろう部屋の扉も蹴破り中に入る。
棚やベッドが乱れていた。
部屋を見渡し声を掛ける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼羽(プロフ) - ともさん» ありがとうございます。なんか設定が暗くて重いのが多いですね……なのにどシリアスになりきらない文章力のなさが申し訳ないです。トホホです。それでもめげずに書いて行きたいと思いますので、お付き合いよろしくお願いします。励まされ頑張れます。 (2021年2月12日 17時) (
レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 終わってしまった。今回のお話も前回のお話同様…頭の中で構成図を組立ててそれを頭に叩き込みながら拝読させてもらいました(笑)皆…重く辛い過去を持ちつつも苦しみを分け合い支え合う姿に心を奪われています。とても素敵なお話をありがとうございました。 (2021年2月12日 15時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - あいさん ありがとうございます。お返事が遅くなり大変申し訳ないです。コロナに振り回されて小説書くだけでコメントまで手が回りませんでした。いつ終わるのか……外に出れない皆様のささやかな時間潰しが出来ればと頑張ります。 (2020年4月3日 14時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - こんばんわ、楽しく読ませてもらってます(^o^)これからも楽しみにしてます☆ (2020年3月20日 20時) (レス) id: 836a232359 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年3月19日 20時
