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リーチの差で取っ捕まり
………
爛れてるなぁ……
と思いつつ誰も止めないあたり全員根っから爛れている。
「じゃあ、次は花ちゃんズだ！」
「おぉ！」
一瞬ヤケになってるのかと思ったが、どうやら楽しみだしたようだ。
ノリノリでお花ちゃんの控え室に向かった。
御愁傷様……
ああして染められて行くんだな。
皆がうんうん頷いていて、新人ナンバーズも一緒について行ってる事に誰も気付かなかった。
数分後……お花ちゃんの控え室から絶叫が４回、２つずつ轟いた。
新年のぎちぎちスケジュールも落ち着いてボチボチ定休日外の休みを取り出した頃……
智は昼間から店への山道をぽてぽて歩いて向かっていた。
通用口から入りオーナー室に向かう。
そして中に入るなり
「もう……そっちで断ったんじゃないの？」
「しつこく来ている」
「来てんの？」
「おまえと直接話がしたいそうだ」
「………」
「応接室だ。
私も立ち合うから」
拒否権はなかった。
仕方なくオーナーに連れられ応接室へ向かう。
中に入ると部屋の中央にあるソファーから男が立ち上がる。
「御無理言って申し訳ありません。
来てくれて嬉しいです。
ナイン……あ、いやクイーンですね……」
智と然程年の変わらない青年だった。
青年は智の店とのギャップに一瞬、驚いたが直ぐに表情を戻した。
智とオーナーは彼の向かいに座る。
「櫻井様、お断りした筈ですが……」
「それでもあなたが欲しいんです。
私の片腕、いやパートナーとして我が社を盛り上げて頂きたい！」
「全く興味御座いません」
「そう言わずにお願いします」
青年…櫻井翔は深々と頭を下げた。
櫻井翔は今、時の人とも言える青年実業家だ。
あらゆる情報を集め分析し今より先に必要となるものを世に送り出している。
そんな彼からのヘッドハンティング。
店としては全く問題はない。
だが個人の話だ。
ナイトが行くと言うのなら契約として成り立つ。
ナイトの言語能力であったり機転の良さだったりを希望して、希望する能力に適した金額や待遇が合えばだ。
ビジネスとしての希望は聞き入れる。
しかし時にプライベートでの付き合いを希望する者がいるがそれは却下される。
ここは能力を売る事はあっても容姿などのプライベートは売らない。
何にせよ、双方の利害が一致するのならばだ。
どれ程客が望もうとナイトが首を縦に振らない限り話にはならない。
決して無理強いはしないのだ。
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年2月10日 8時
