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「うん……そうだね。
ありがと、雅紀」
腕に抱くサメのぬいぐるみに顔を埋め嬉しそうな幸せそうな特上の笑みを浮かべた。
ぬいぐるみとはいえ店の中で一番大きなそれの重さも苦にならなくなる無邪気な微笑み……
向けられた方も自然と微笑んでしまう。
テディベアとサメと言うなんとも不思議な組み合わせのぬいぐるみを抱く男２人が微笑み合う。
…………
迎えに来た潤とニノは少し離れた所で足を止めていた。
なんだろうねぇ、あの２人……
２人で同じ事を思ったが口には出さず、同時に回れ右して車に戻った。
暫くして戻って来た智と雅紀からぬいぐるみを受け取り立体パズルのように、あーでもないこーでもないと特大ぬいぐるみたちを一番後ろの先に詰め込んだ。
イルカのぬいぐるみだけ智がニノと並んで抱き締めて座る。
ショッピングモールを歩き回り色々疲れたのかイルカを大事そうに抱き締めて眠ってしまった。
車を出す前に。
前に座っている２人はバックミラー越しニノは横でその微笑んだまま眠っている智を愛おし気に見つめる。
「考えたらさ、あんなナンパ男どうとでもあしらえるだろ、２人とも……」
「笑っちゃって力入んないよ」
どうしても笑ってしまうようだ。
店のスタッフ一同、護身術は身に付けている。
なんならナイトは攻撃術までこなせる。
「第一あんなとこでいちいちチャラ男ぶん投げてられないよ」
それはそれで問題になるだろう。
取り敢えず無事買い物が済んでよかったと胸を撫で下ろす。
普通に買い物に来ただけなのにやたらと疲れたのはナンパ男と特大ぬいぐるみのせい？
「晩めしどうしようか？」
食べて飲んで帰るまでが予定だった。
帰りは代行運転を頼んで。
「ここのスーパーで惣菜買って帰って食べる？
しげさんにはいらないって言ったからないだろ」
次の目的地を決めてないからまだ車は動かしていない。
「アルコールも買って？」
「そうそう。
クイーンの部屋でさ。
もうこんな時くらいしか行けないじゃん、俺も潤もさ。
流石に敷居が高いよ、カラーズの部屋は……」
「ニノでもそんな事思うんだ。
ナイトになったのに？」
「それでも雅紀はどうあれカラーズは別格だろ」
愁傷な言い方に流されそうになるが何気に失礼な言葉が混じっていた。
「なんで俺だけ違うんだよ」
「……深い意味はないよ」
「もういいよ……
買い出し行こ、潤。
ニノは智見ててね」
「了解。
あ、俺生物駄目だから……」
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年2月10日 8時
