３４ たった１つの想い ページ34
「彼は地上での智くんの側近だからね。
そして彼の父親となる者が地底での側近だ。
経由して頼めばどうとでもしてくれるだろ」
「わかった。
頼んでみるよ。
ありがとう、翔さん」
ほっとした表情で礼を言う潤の頭を翔はそっと撫でた。
「翔さん？
なんで？」
「えっ、ああ…なんとなく？
すまん、驚かせたか？」
「ん、まぁ驚いたのは驚いたけどね。
翔さんのキャラじゃないからさ。
智は俺が椅子に座ってたり寝てたりしたら通りすがりに撫でられたけど。
撫でられ慣れたと言うか……だから嫌ではないよ。
単純に翔さんに撫でられる事なかったから驚いただけ」
「確かに…あの人…撫でたり指絡めるの好きだよな。
俺はあの人の刈り上げた襟足、触るの好きだな」
「あ、それは俺も。
手触り気持ちいいよね。
でも…刈り上げの王様って聞かないよな」
「確かに王様って禿げかふさふさのイメージだな」
軽口を言いつつ……ここにはいない……今だ闇の国で眠りに付くその人を想う。
「でも、あの人……地上に行って芸能界で遊び出すまでは艶々な黒い長髪だったよ。
床に着く寸前くらいでキープしてた」
「手入れとか大変そう」
素直な感想を口にした。
それを聞いた翔はくすりと笑う。
「ぜんぜん大丈夫……魔術があるし手入れする手は山程あるからね。
妖姫を侍らして御髪を綺麗にして貰ってたさ。
なんなら風呂で体の隅々まで洗って貰ってたしね」
「………妖姫って？」
聞き慣れない言葉を問う。
「物言わぬ女性型の妖魔だ。
声なき声で歌う歌は美しく、その歌に合わせて踊る舞は歌以上に美しい。
必要ならばおまえの世話をするように１人でも２人でも手配するが？」
「いらねぇわ。
初めて聞く言葉だから聞いただけだし」
そっぽ向いた頬が少し赤らむ。
「可愛いな、潤。
そりゃ智くんが気に入るのもわかるわ」
「なんだよ、それ」
「思い出してるんだろ？
神はおまえ達に何も教えず地上に下ろした。
そんなおまえ達に人間の中で生きる為の色々を教え込んだのは智くんだって智くんに聞いたけど？
違うか？」
「……そうだよ。
そこは…この間……思い出した。
それは多分…智が消してたんだと思うけど記憶はなかったから……」
「雛の刷り込みと一緒だな。
天使として生まれて直ぐのおまえとニノが最初に見たのが智くんなんだろ？
だから親だと思って付いて回るんだよ」
翔の言葉に潤は小さな胸の痛みを覚えた。
自分の気持ちを否定されたような気がしたのだ。
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
