２０ 生きたのは数千年 ページ20
「本当に無茶するよね。
大丈夫なの？」
「大丈夫だろ。
万が一に備えて精鋭の公達を配置してある」
「彼らの襲撃に備えて？」
「そう…黙って見て聞いてくれるのが１番いいんだけどな」
「その為のラブソングメドレーだよね？」
「勿論、そうだよ」
そう頷いて智は妖しい微笑みを浮かべた。
この日………長時間の音楽番組の出演となる。
その控え室。
「大ちゃん……戻るんだよね」
「恐らくな。
その為には雅紀……いつも通り楽しんで歌って踊っててよ。
ファンの子達は勿論、あいつ等に届くようにね」
「わかった」
２人に届ける為と言われ雅紀の顔に笑みが浮かぶ。
「こんな単純な事で戻るもんなの？」
「単純に創られてるから大丈夫だろう。
雅紀を殺せ。
翔を殺せ。
その使命だけを与えて他は何一つ教えず放り出したのだからな。
だから…こちらも複雑に作戦や手段を考え選ぶよりも単純なのがいいんだよ」
「単純で…って……ある意味力技だよね」
地上での人間としての仕事の為、言葉使いもそれに習って智に丁寧な言葉を使う事を翔はしないでいる。
何時誰かに話を聞かれてもいいように。
智もまた同じく人間の言葉使いになっている。
「生まれて直ぐから一緒にいるんだ、奴等とはさ。
神よりも長く深く………それに…それなりに愛情と言う物も注いでたけど？」
「妖魔の愛だよね？」
「そう妖魔の愛だ。
想いを返せば幾らでも与えられるものだよ。
その妖魔の愛を受け翔はどれくらい俺の側にいる？」
「もう覚えてないよ。
何百年も経ってるんだからね」
「翔ちゃんって元は人間なんでしょ？
何でそんなに長生きできるの？
魔術師だから？」
何百年……の言葉に雅紀は反応し尋ねた。
そう言えば俊介も言っていた事を思い出して。
「そうだね、魔術としては反魂の術はあるけど手順や条件が面倒で煩わしい。
それに何度もしなきゃならないしね。
だから……天にある不死の水を盗んだ」
「えっ！？」
「勿論、１人では無理だから智くんに手伝って貰ったけど……この人は何回か行ってるらしいから。
でも流石、神の不死の水だよね、まだ生きてるよ…俺」
「どれくらい？」
「……もう何百年経ったかは本当に忘れたなぁ。
下手すりゃ千年だって越えてるかもしれない。
ああ……ピラミッド作ってるの生で見たかな」
「……それって数百年とかじゃないじゃん。
千年単位だよ」
「そっか、そうだよな」
そう翔が言葉を返すと雅紀は大きな溜息を吐いた。
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
