１０ 戻りたい ページ10
智の前で立ち止まった雅紀は泣きそうな顔をしていた。
「ああ……楽しかったよ、それなりに」
「殺し合いが楽しいなんて有り得ないよ！
死んじゃうんだよ！
消えちゃうんだよ！
そんなの嫌だよ！」
智はカウチから起き上がり、そっと雅紀を抱き締める。
「我等は死なん。
死ぬのは雅紀だけなんだ。
だから護る………何としても」
「でも、でも……松潤とニノは？
殺しちゃうの？
……それも………そんなのも嫌だよ！」
「あれらも不死身。
だから簡単には死なん」
「じゃあ……じゃあ……どうすんの？
一生このままなの？
もう皆、一緒にはいられないの？」
赤子の様に泣きじゃくる雅紀を智は愛おし気に抱き締め、その広い背を撫でる。
「あら……やっぱりか。
智くん、貴方……ニノと遊んでたんでしょ？
だから松潤が相葉くんの方に行っただろうから心配してたんだけど……そうなるよね」
「そういう事……
人間を永く永く見続けたが……唯、見ていただけだと痛感するよ。
雅紀に触れると新たな事を感じる」
「それが雅紀だからね」
戻って来た翔が状況を見て苦笑する。
「それでどうするの、天使相手に。
こちらもあちらも不死。
決着なんて付かないでしょ？」
「そうだろうな。
だが……だがな、翔、雅紀。
２人が俺らを思い出す事は可能だぞ」
智の言葉に雅紀は顔を上げ智を見詰める。
翔もまた然り……
「どうやって？」
「あの２人が出会って直ぐではなく何年も経った今、何故……剣を抜いたか。
様子を見ていたのであろう」
「何かの行動か言葉が引き金？」
「恐らく…神を否定する言葉なのは間違いないだろう。
願いは聞かぬ癖にそういう言葉は耳聰いのだよ」
「何の話してたっけ？」
「マナブだったと思うよ。
その後が急転回過ぎて忘れちゃってるよ」
言ったであろう言葉の瞬間、直後に剣を抜かれたのだ。
その衝撃で言った言葉は一瞬で記憶の中から消滅した。
それでも必死に思い出す。
そして雅紀が……
「自然の恵みと人々の努力……で実りはあるって……凄いよねって。
でも神様の悪口なんて一言も言ってないよ！」
思い出した。
「成程な。
確かに悪口は言ってない。
唯……神の存在を消し去っていた。
自然と人の手のみ。
元は神の与えたもう恩恵であった筈なのに……だ」
「そ、そんな……」
「そんなモノなのだよ、神は。
与えた事など忘れているのに最初に与えたのは神なのだから、それを忘れるなと言いもせずに求める。
勝手なのだ」
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
