２２ 天使のお目覚め ページ22
「スタンバイ、お願いします」
スタッフの声に智と翔と雅紀は立ち上がり部屋を出る。
その後ろには今を忘れたメンバーの代理を担う２人が続く。
敢えて昼間の野外にセッティングされたステージ。
天使達にその歌声が直接、届くように。
曲も最も歌って来たデビュー曲と定番のラブソングとダンスナンバーのショートメドレー。
届けるのは目の前のファンの子達と上空から見詰める…本来なら同じステージに立つべきメンバーであった天使達。
……天使達よ、聞くがいい。
本来ならば、ここで共に歌い踊るのは……おまえ達。
……天使達よ、感じるがいい。
共に歌い踊り刻み込まれた記憶を。
……そして思い出せ……おまえ達こそ、ここに立たなければならないと言う事を！
そんな想いを込めて歌い踊る。
それを空の上から見詰める天使の何も…唯一写すは倒すべき相手のみ…だった瞳に彼等が写る。
神の声しか聞こえない耳に届く想いが溢れた声、歌。
何もない筈の記憶を擽るように重なる歌詞。
そして……重なる視線。
その瞳が語る。
……ここに来い……そして歌え、踊れ。
……おまえ達ならばできるから。
……否……おまえ達にしかできないのだ。
ふわりとした穏やかな瞳。
きりっとした柔らかな瞳。
きらきらした温かな瞳が２人を見詰め誘う。
天使達は誘われるまま……地上へと下り、ステージの横で彼等を見詰める。
曲が頭の中に流れ込む……歌っているのは誰？
リズムが胸を撃ち付ける……踊っているのは誰？
数多の人間達が黄色い声で名を呼ぶ……誰の？
その名は………………我等か？
幻影を残し妖魔の王が動く。
人の視界から隠れた天使の元へ。
そして２人に手を差し伸べた。
「和、潤……本番、始まってるよ。
皆、待ってる……聞こえるだろ？」
天使の頭に唯一ある神の声が音楽に掻き消される。
天使の胸にある神の使命が歌声と声援に押し流される。
真っ黒なのか真っ白なのか……不明であり両方でもあった頭や胸の内が澄んだ声、清らかな音に綺麗に洗い流された。
その後……唇に柔らかな感触……懐かしさを感じるそれは懐かしいと感じる何かを引っ張り出した。
そして脳裏と胸を満たしたのは………嘗ての友の声と笑顔だった。
「おかえり、和。
おかえり、潤……待ってたよ。
帰ろう……おまえ達の居場所へ」
手を引かれステージに上がる。
妖魔の魔術により衣装も人間も誰に気付かれる事なく入れ替わる。
漸く…漸く………５人が揃った。
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
