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肩にあった筈の手が俺の頭をくしゃりと撫でる。
振り向くと智が穏やかに微笑んでいた。
その後ろに姫と鬼が勢揃いしている。
「ゆっくり剣を抜いてね。
仕上げは俺がするから……」
智に頷いて剣を手にしたまま立ち上がる。
それからゆっくりと剣を大地から引き抜く。
俺の正面に回った智が今度は地面に膝を付き剣の刺さっていた場所に両手を置いた。
そして智の手の中に姫と鬼、対のまま吸い込まれて行く。
全ての姫と鬼が消えると智はほっと息を吐き、手を離す。
……その地面には穴どころか傷一つなかった。
終わったんだ……
その場にへたり込む。
「智っ！」
和の悲愴な声が響いた。
…………何？
なんでそんな声？
目の前の智を見ると…
膝を付いたまま、ゆっくりと前に倒れて来た。
地面に顔を打つ寸前に抱き留める。
その瞬間……見えた。
白い装束が真っ赤に染まっているのを……
触れた手にぬるりとした感触……
俺の手が真っ赤に染まっていた。
ナニガアッタ………
腕の中の智が冷たい……
ナゼ………
体が震えるのは冷たいせい？
「大丈夫よ。
体が冷たいのは出血を抑える為に雪姫に体温を下げてもらってるだけよ」
「だが急ぐぞ。
潤、そのまま連れて大宮へ行く」
わけがわからない。
なんでこんなことになってるんだ？
櫻塚と大宮の当主言っている事が理解出来ない……
「潤っ！
早くさとちゃんを連れて行くの！
ここじゃ手当出来ないんだからっ」
雅紀が俺の頬を持って顔を上げて目を合わせて叫んだ。
……そうだ。
手当しなきゃ。
雅紀に支えられながら震える体で智を抱いて立ち上がる。
「２人だけ連れて先に行く。
その方が早い。
後を頼むぞ」
櫻塚の当主が大宮の当主に声を掛けると同時に風鬼が俺たちを包む。
「潤くん、頼んだよ。
智は大丈夫だから……」
「ああ…」
きっと助かる。
そうだよな、和……
大宮に着くと既に布団が敷かれ術師たちが待ち構えていた。
「先に風呂に入るといい」
「でも……」
櫻塚の当主が俺の姿を見て声を掛けてくれる。
でも……何も出来ないけど側にいたい。
「智は暫く風呂に入れない。
そんな智をその手で触れる気か？
風呂に入って落ち着いて来い」
「……はい」
そう言われると従うしかない。
「絶対に助ける」
「何があったんですか、智に…
俺、側にいたのに気付かなかった……」
「皆、揃ってから話すよ」
知りたいのは俺だけじゃない……
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蒼羽(プロフ) - ともさん» ありがとうございます。処女作と言う事で文章回しが少々？固かったかな？ですかね、申し訳ないです。その後は慣れるに従って改善できてると思いますが……思うだけで自信はないですが。そんな拙い文章でも楽しんで頂けて幸いです。これからもよろしくお願いします。 (2021年2月7日 18時) (
レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 初めまして。ちょっと難しい内容？でしたが思いっきりのめり込んで一気読みしちゃいました（笑）ゆっくり一語一句噛み締めるように読み頭で想像しながら。とっても面白かったです。めっちゃ素敵なお話で楽しかったです。 (2021年2月7日 17時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - だんごさん、応援ありがとうございます。とっても励みになります。拙い作品どすが、気に行って頂いて嬉しいです……これからも地味に頑張すので、よろしくお願いします。 (2020年1月26日 15時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - はじめまして、こんばんは。お疲れ様でした!このお話凄く好きだったので名残惜しいです( ；∀；)短編集、楽しみにしています!頑張ってくださいヽ(^o^)丿 (2020年1月26日 1時) (レス) id: 40480d6916 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2019年12月24日 0時
