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「翔さんからよろしく」
「俺からでいいのか？」
「うん。
どうもさ、大宮から櫻塚が別れたみたいなんだ。
だから櫻塚が何処まで話を持って行ってるか気になるから」
「了解。
それならそれでいいよ。
ただ何もなかったとだけ先に言っとく」
そう前置きして翔さんは溜め息と共に話し出した。
「文献には既に術師は鬼を従えていた。
従えていた術師が櫻塚を創ったってさ。
何故鬼を従えていたのか、鬼との盟約なんかは全くなかった」
始まりがない？
そこまで削るのか？
「異形の消滅の仕方とか術師の勉強の時に習った事が仰々しく書いてあったよ。
肝心の然るべき時とか始まりの術師が託したものとか全く皆無」
大きく肩を竦める。
「新当主に頼んで屋敷中の文献読み漁ったのに、これってのに当たらなかった。
逆に見事な位何もない」
「大宮から離れた時に何も持たなかったって事かな？」
脱力する翔さんに和が呟く。
「日本の男尊女卑の歴史は古いだろ。
でも鬼と姫の関係は逆じゃん。
当時の術師にしたら耐え難いもんだったのかも。
術の違いもあって離れたんだと思う」
「思う？」
翔さんが訝し気に眉を寄せる。
「１冊だけ陽の術師と鬼の話が載ってた。
そんなのがいたって程度だけど。
大宮にしても陽の術師や鬼はなかった事になってるみたい。
それっきり一切陽の術師も鬼も出て来なかった。
櫻塚は出て行った後に名乗ったんじゃないかな。
名前は載ってなかったから」
「櫻塚は大宮を容赦なく切り捨てたんだな。
櫻塚の名前に大宮の欠片もない」
「時代の男たちのプライドか…」
俺も思わず呟いてしまった。
「潤くんの言う通りだね」
「と言う事は始まりの術師の話は大宮か」
「そうなんだと思う。
異空より現れし異形なるもの消し去るは陰陽の術師。
陰は姫なる精霊と共に…
己の内より産まれる力を持ってして。
陽は鬼なる精霊と共に…
己を取り巻く力を得て。
て感じで書いてあった。
まんま……だろ」
今度は和が大きな溜め息。
「教科書通りってやつだな」
「術師と姫との出会いもない。
もういきなり姫を使って…みたいな感じでさ。
山のようにあるんだよ、文献。
でも全部、清書なんだ。
一度書いた物を削除したりして書き直したっぽい。
だから知りたい事は何にもなかった」
「「はぁーーー」」
翔さんと和が今日一番の溜め息をついた。
これ以上、話は出ないんだろう。
「なぁ、智……」
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蒼羽(プロフ) - ともさん» ありがとうございます。処女作と言う事で文章回しが少々？固かったかな？ですかね、申し訳ないです。その後は慣れるに従って改善できてると思いますが……思うだけで自信はないですが。そんな拙い文章でも楽しんで頂けて幸いです。これからもよろしくお願いします。 (2021年2月7日 18時) (
レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 初めまして。ちょっと難しい内容？でしたが思いっきりのめり込んで一気読みしちゃいました（笑）ゆっくり一語一句噛み締めるように読み頭で想像しながら。とっても面白かったです。めっちゃ素敵なお話で楽しかったです。 (2021年2月7日 17時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - だんごさん、応援ありがとうございます。とっても励みになります。拙い作品どすが、気に行って頂いて嬉しいです……これからも地味に頑張すので、よろしくお願いします。 (2020年1月26日 15時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - はじめまして、こんばんは。お疲れ様でした!このお話凄く好きだったので名残惜しいです( ；∀；)短編集、楽しみにしています!頑張ってくださいヽ(^o^)丿 (2020年1月26日 1時) (レス) id: 40480d6916 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2019年12月24日 0時
