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side 潤
頑なに自分で着替えると言ったのは俺たちにあの無惨な傷を見せないためだったんだ。
きめ細かい白い肌に痛々しく残るそれは１つや２つじゃない。
無数に広がるそれにぞっとした。
俺たちのため肩代わりしてくれたモノはこんなに酷くて残酷なモノ。
和に気を使って自分の家なのに真面に帰らず黙々とこんな事を続けていたんだ。
居ても立っても居られず部屋を出た。
洗面器に熱いお湯を入れタオルをつける。
俺にできる事はこんな事ぐらいしかない。
俺がしなきゃいけない筈の事なのに。
智さんがする必要ないのに。
でも代わる勇気はない。
部屋に戻り布団の中で丸まる智さんに声をかける。
「体拭いて着替えましょう。
お願いです。
拭かせて下さい」
そっと布団を剥ごうとするが抵抗される。
俺たちに見せたくないんだ。
俺が気にするから？
和がいるから？
和に見せていい傷じゃないから。
「……おい、といて…」
布団の中からくぐもった声が聞こえる。
そうじゃないんだ。
「拭かせて下さい。
俺にはそんな事しかできないから。
代わる勇気のない俺にせめてそれだけでもさせて下さい」
そう懇願した。
俺が代わると言えないから。
「和、部屋から出ててくれないか。
この人を綺麗にしてあげたいんだ。
でもおまえに見られたくないんだと思う」
特にまだ10代の和に見せたくはないのだろうと思った。
俺ならそう思う。
「やだ。
俺も手伝う。
俺たちのためにそんなんなってんだろ？
だったらやる」
和の中で何かが変わった？
和は智さんとの間に今まで強固な壁を作ってた。
和自身どうしていいかわからない壁。
それが崩れようとしているのかもしれない。
こんなにも弱ったこの人を見て。
元は優しい子だから。
和に何も見せようとしない智さんが歯痒かったんだよな。
「出てきてよ。
今まで悪かったからさ。
汗拭いて着替えようよ」
「やだっ。
自分でするから出てって」
震える声。
この人は知ってるんだ。
自分の傷を俺たちに見せる事によって俺たちがどう思うかを。
俺たちは智さんの事を殆ど知らない。
でもこの人は俺たちの事をよくわかっている。
だから見せたくないんだ。
どれだけのモノを１人で背負って来たのか。
雅紀さんに甘えるのはあの人が全部知っているからなんだろう。
ずっと智さんを見続けて来たから。
きっと幼かったこの人をずっと守り続けて来たからだ。
それを託されたなんて烏滸がましい事だと思い知った。
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蒼羽(プロフ) - 夏樹さん» ありがとうございます。ちょっと寄り道してましたが、続き始まりました？ので、これから後半に向けて頑張ります。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いします！ (2021年1月24日 22時) (
レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
夏樹 - 楽しみにしながら、小説の続きが読みたいです。 (2021年1月24日 22時) (携帯から) (レス) id: f3c5bb2111 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。面白いそう言っていただけて嬉しいです。頑張りますので、よろしくお願いします。 (2021年1月17日 11時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 小説面白いです更新待ってます (2021年1月16日 23時) (レス) id: c3d8a6651c (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - 明さん、コメントありがとうございます。毎日２話が限界で申し訳ないです。時々滞りますが……寝落ちして更新しそびれる……なんて事もありますが。できる限り頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2021年1月12日 21時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年12月29日 16時
