５ ページ22
予想通り……？
世間一般の夕食時間も通り過ぎてた。
なんなら一般的な消灯時間も過ぎた。
あの人はちゃんと晩ごはん食べたかな？
料理はできる人だけど、絵を描き出すと作るどころか食べる事事態忘れてしまう。
大急ぎで帰ると明々と点く電気。
「おかえり〜」
穏やかで脳天気な声。
「ただいま」
「ごはんできてるから風呂行っといで」
「あ、はい」
素直に風呂に向かった。
出ればテーブルの上には食事がセッティングされてた。
しかも昨日が重めだったせいか軽めだ。
でももう直ぐ日付けが変わる時間ならこんなモンか。
「食べようぜ、お腹ぺこぺこ。
ちょっとどころじゃない押し具合だな。
予定時間の倍？」
「ごめんってば」
「仕方ないよな、それがおまえなんだもん」
それが俺ってどういう事？
まぁ……毎年そうだったけど。
夕方始めて朝……１２時間は当たり前だったよな。
帰って飯食ってビール飲んで……穏やかな日常。
テレビにはあなたのお気に入りのなで肩のイケメンキャスターがニュースを読んでる。
そのニュースが終わって
「おかわりいる？」
「貰うよ」
キッチンに向かったあなた。
その時……急に鳴ったアラームに驚いた瞬間。
ぽんっ
と地味めな音がして何かが飛んでった。
何？
何を飛ばした？
「ハッピーバースでぃ！」
あ……そう言えば打ち合わせ前に祝われたな。
その後、打ち合わせに熱中し過ぎて帰りは慌ててて忘れてた。
でも……でぃだけ平仮名だぞ。
他も片仮名だけどな。
得意気なあなたの手元にはシャンパン。
飛んでったのはそのコルクか。
クラッカーではなくシャンパン。
ちょっとお洒落になったじゃん。
シャンパングラスに注がれたゴールドの液体。
「おめでと」
「ありがとう」
グラスを合わせる。
「で、これ」
差し出されたのは白い布が被せられた長方形の……
キャンバスか？
あれか？
「描けたの？」
「うん、プレゼント」
布を取ると……モナリザ………
「綺麗……だけど………濃くない？」
「仕方ないじゃん。
綺麗な顔って言ったらおまえしか浮かばなかったし、１番よく見てんのもおまえの顔なんだもん」
耳まで真っ赤で可愛い過ぎ。
しかも嬉しい事を言ってくれる。
俺に似たちょっと濃いめのモナリザ。
あなたとの思い出がまた増えた。
また、見に行こうな。
それまでゆっくり傷を癒してね。
「ありがとう、愛してる」
「俺も愛してるよ」
おわる
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼羽(プロフ) - 青子さん» 初めまして＆コメントありがとうございます！…もう嬉しすぎます。青子さんのお話もお気に入り入れて何度も読み返させて頂いてます。そんな方からのコメント嬉しすぎます。拙いお話にお付き合いありがとうございます。しかもタニス・リーファンだなんて…頑張れます！ (2021年11月26日 22時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - 今回のラスト、まさかまさかでした。この先があったら、なかなか怖い事になりそう…などと妄想しております。蒼羽さんの作品をこれからも楽しみにしております。モンスターの太郎ちゃん、一郎君兄弟、楽しみにしております。最後にタニス・リーのファンです。 (2021年11月26日 16時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます。蒼羽さんのお話は全部読ませていただいております。毎日の更新本当にありがとうございます。 (2021年11月26日 15時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年11月26日 0時
