４ ページ21
「何故、すき焼き？」
「クーラーガンガンにして食べよう」
「クーラー苦手な癖に？」
「寒いのが苦手なだけ。
クーラーが苦手ではない」
「どっかの誰かさん並の屁理屈だな」
そう笑いながら席に着く。
「ご飯いる？」
「少し食べようかな？」
「はいよ」
半分冗談で買った夫婦茶碗。
量がちょうどいいと文句は言われなかった。
男性用茶碗じゃ多いんだよね、あなた。
誰かさんはお茶漬け用茶碗で普通にメシ食ってオカズ食ってるのに。
俺も流石にそこまでは無理だけど……
彼のあの細い体のどこにあれだけ入るんだろうか。
と不思議に思う。
「鍋ヤバいな。
もうちょい食べたくなってちょい入れたら入れ過ぎて入れたら食べなきゃで……死ぬ」
これが最後の１杯にしようと思ったら食べたいの全部入れてしまう。
で、入れ過ぎて腹ぱんぱん。
「明日、出掛けんだろ？」
「ああ、昼から夕方の予定だけど」
「打ち合わせは押すよな」
「そうなんだよなぁ」
打ち合わせと言う名の仕事はどうしても熱が入って押してしまう。
納得行く所まで行くと毎回そうなる。
「無理すんなよぉ〜」
「あなたもね。
あれ、仕上んの？」
描きかけの絵を指差す。
それをちらりと見たあなたは溜息を吐いた。
「もうちょい」
「のっぺらぼうだよね？」
「そう……納得するヴィジョンが浮かんで来ない。
またおっさんになるのは嫌だしな」
「そういえば……あなた女の人って描かないもんね。
謎なおっさんばっかで」
「そうなんだよな。
おっさんばっか描いて作ってるから、いざ美女描くとなると描けねぇ」
「しかも黒人おっさんだろ？
白人美女って正反対じゃん」
「それだよ、困ってんの」
そう言いながらまた体を伸ばす。
「おっさんな美女は止めてよ」
「それじゃあ、リベンジにならないし。
おっさんが美女って有り得ないし。
逆に難しいわ。
あ、先に寝てろよ。
もうちょい仕上げてから寝るから」
「いいけど、ちゃんと寝ろよ」
「わかってる」
そう言ってまたキャンバスに向かう。
完全に俺は放置決定。
あの絵が１日でも早く仕上がる事を祈るしかない。
俺は諦めて大人しく寝室に向かう。
勿論、完全放置は癪なのでキスの１つくらいは貰っておく。
思いっ切り濃厚なやつを……
「馬っ鹿じゃねぇの！」
どんなに怒ってもそんなに真っ赤になってたら可愛いだけだからね。
聞かなかった事にして寝室に入った。
目覚めれば腕の中にあなたの温もりがあった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 206人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼羽(プロフ) - 青子さん» 初めまして＆コメントありがとうございます！…もう嬉しすぎます。青子さんのお話もお気に入り入れて何度も読み返させて頂いてます。そんな方からのコメント嬉しすぎます。拙いお話にお付き合いありがとうございます。しかもタニス・リーファンだなんて…頑張れます！ (2021年11月26日 22時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - 今回のラスト、まさかまさかでした。この先があったら、なかなか怖い事になりそう…などと妄想しております。蒼羽さんの作品をこれからも楽しみにしております。モンスターの太郎ちゃん、一郎君兄弟、楽しみにしております。最後にタニス・リーのファンです。 (2021年11月26日 16時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます。蒼羽さんのお話は全部読ませていただいております。毎日の更新本当にありがとうございます。 (2021年11月26日 15時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年11月26日 0時
