警視庁特別科学捜査強行犯特捜部 JUMP 2

事件ファイル9 ページ49

慧said

侑李「えーっとね…


うん。そうみたい、社員たちは会社のロゴがプリントされてるペンを使ってるみたいだよ。」



慧「ありがと。」


やっぱり知念は仕事が早くていいね。


ってことは。この破片も、社員の人のペンってことか。



機械が修復したペンを見ると、ナショナルフーズというロゴが見えて、



ひょっとして会社オリジナルだから一般に出回っていないのかも、


と知念に連絡してみたってわけ。




でもさ、


慧「それと一致しない、同じ成分の破片、ねー…」





頭の中でいろんな仮説が浮かび上がるけれど、どれもいまいち確証がない。




とりあえず、自分が気になったことは調べ終えたので、



捜査会議の時に言った、下足痕の件。




あの階段、日常的に使われていたみたいだから、


下足痕という下足痕がそこら中にたくさんある。



まずはそこから、


慧「被害者の下足痕。」



エンターキーをﾎﾟﾝｯと押してしまえば、無数の下足痕の中から浮かび上がる被害者の靴と同じ下足痕。


慧「は？この人あの階段どれだけ使ってんの？」



消したとしても多すぎる被害者の下足痕。



でもなめんなよ。この最新機器を何だと思ってる。



下足痕から、最新のものをピックアップできるのだ。


慧「おお。」


だいぶ減った。


事件の日、恐らく被害者があの階段を使ったのは、死亡する直前。


その証拠として、下足痕は階段の1往復分着いている。


慧「一往復…？」



そんなはずない。


被害者は階段から落ちてるんだから、こんな一段一段にくっきり下足痕が付いてるはずない。




それに、


慧「一往復分じゃ、ない？」



被害者の下足痕はなぜか下りの痕がびっしりついている。


普通階段から落ちたのなら、突き落とされたにしろ、足を滑らしたにしろ、


下りの階段にくっきりと下足痕がつくはずない。



焦った俺は、すぐさま消したはずの他の下足痕から、


ある条件に当てはまる下足痕だけをヒットさせる。




自分の中にある恐ろしい仮説を確かめるように、


先程の捜査会議で配られた事件の資料の中から、

ある資料のある部分だけを慎重に確認する。







どうかそうでないようにと願いながら。





全てのことを悟り、理解した俺。







忘れたはずのあの事件を思い出す。









この事件は…







慧「なんて悲しい事件なんだ…」









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