警視庁特別科学捜査強行犯特捜部 JUMP 2

事件ファイル7 ページ47

光said



宏太「恨まれる動機があるってことね。」


薮が話を進めようとすると、再び口を開く山田。


涼介「ただ、山本さん。会社のお金を横領してたみたいで…近々そのことで人事部が事情を聴く予定だったらしいんです。


そのウラはさっき渋谷さんたちにとっていただいて、おそらく横領の件は本当だと思います。」


光「自 殺の動機もあるってわけか。」


宏太「事故死も視野に入れた方がいいってことだな。



伊野尾の方はなんかある？」



慧「うん。山本さんの後頭部にあったどこかでぶつけたような傷。死因には関係ないみたいだけど、あれは転落する前にぶつけたものだと思う。この傷口と、この階段の形状が一致する。」



そうやってCG映像を再生したタブレットの画面には100％の文字が。


あそこで頭を打ったのは間違いないようだった。



侑李「頭を打ってから飛び降りたってこと？」



圭人「おかしいよね。突き飛ばされたけど、息がまだあるから、突き落としたってこと？」


慧「いや。転落は分からないんだけど、階段は突き落とされたにしてはおかしいんだよね。」



妙な事をいう伊野ちゃんにみんなの目線は持ってかれていて、タブレットや前に映るスクリーンに次の画面が切り替わったると、また視線が移動する。



慧「傷の痕と、山本さんの体格のデータを入力してシミュレーションしてみた。


まずは足を滑らしたか何かで頭を打った場合。」



ボタンを押した伊野ちゃんの手で、そのシミュレーション動画は動き始める。


慧「次に、第三者に突き落とされた場合。」


また動き始める映像。でもここで俺は可笑しなことに気が付いた。


光「傷の位置がずれる？」



その言葉を待ってました。と言わんばかりに、そう。と頷いた伊野ちゃんは説明を続けた。


慧「もし突き落とされたのなら、スピードがでて、ここよりも少し左にづれる。前向きに落ちても後ろ向きに落ちても。

その点、自分で足を滑らせたのなら、この位置に傷が来ることも納得できるんだけど、

それにしてももう少し左に頭をぶつけるはずなんだよね。

こんな右にあるって、階段の踊り場ですこしふらっとしない限りここに頭はぶつけないと思う。

でも許容範囲内ではあるからおそらく自分で足を滑らしたんだと思う。


だから、誰かに突き落とされてから、転落した。

下足痕を調べられたら良かったんだけど、人通りが多くて、どれが最近のものなのか判別できなかった。

もう少し時間ちょうだい。」

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