警視庁特別科学捜査強行犯特捜部 JUMP 2

事件ファイル3 ページ43

裕翔said


少し遅くビニールシートの中に入ってきた山ちゃんは、死体を見るなり、顔を青くさせた。


山ちゃん、慣れ。慣れだよ。




と心の中で言い聞かせつつ、俺はカメラを構える。


もうある程度の写真は先に到着した鑑識が、撮り終えてるみたいだけど、


俺も個人的に気になったところをご自慢のカメラで撮影する。





よく聞かれるし、この前山ちゃんにも聞かれたから答えるけど、


僕は仕事用と趣味用のカメラは使い分けるタイプだから！


仕事用は仕事用でデータ管理もしてるしね。


嫌だよ、自分の撮った写真の中に、仕事中撮った遺体の写真があったら。





というわけでカメラを構えていると、渋谷と薮くんが話している声。


ちなみに光くんは遺体の観察、伊野ちゃんは何か見つけたものをとりあえず保存していて、

大ちゃんは…本社のビルの高さに『おおお』と驚いている。



至って通常運転だ。


宏太「遺体の状況は？」


渋谷「被害者は山本国弘(ヤマモトクニヒロ)さん。この本社のビルの非常階段から転落した、転落死。


そして彼が落ちたのはおそらく８階のあの場所。」


渋谷はやけに人が集まっている階段の方へ指をさした。


光「そんで、おかしな点って？なに？」



渋谷「とりあえず上に来て欲しい。」


渋谷に連れられ、俺たちは転落現場である非常階段へ向かった。




渋谷に連れられていけば、彼の部下と思われる刑事たちが彼に敬礼。ついでに俺らにも軽くお辞儀をしてくれた。


俺たちの方がおそらく年下なのにすいませんね〜と思いながら、

前を通り過ぎると、

渋谷が指をさすところを俺たちも見る。


渋谷「ここから転落したことはほぼ間違いないだろう。鑑識が彼の指紋があることを確認した。」



慧「じゃあおかしいところって、」


渋谷「ここだよ。

ここ、少しだけ、泥が剥げてんだろ？この後がその下の踊り場まで続いてるってことは、」


光「ここから一度階段を滑り落ちた？」


そうだ。と頷く渋谷。


渋谷「ここだけ妙にきれいになってるだろ？


ここに滑り落ちたとみてまず間違いはなんだが、」


慧「これが自 殺だとしたら、なぜ一度階段から滑り落ちたのか？仮に他 殺だとして、なぜ階段から落とした後、ここから突き落とす必要があったのか。」




『俺にもしゃべらせろ。』と言いながら、少し口を尖らせた渋谷は、ああそうだ。と僕たちを見た。

事件ファイル4→←事件ファイル2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す