警視庁特別科学捜査強行犯特捜部 JUMP 2

事件ファイル41 ページ36

侑李said


彼女の夫で俊くんのお父さんである刈谷勇士の罪状は、違法薬 物の譲渡未遂。



実際譲渡を行う前に警察で逮捕という名の保護ができたこと、彼は直前まで、日払いでの割のいい仕事と言う程で、違法薬 物の譲渡を知らなかったこと。


そして今回の犯人組織の逮捕に少なからず一役買っていることから諸々の情状酌量までついて、不起訴処分で書類送検として扱われることになった。



ただ、違法薬 物の件はそのように扱われただけの話。


児童相談所や相葉くんは俊くんの傷や痣を、虐待であると判断した。



この国には、児童虐待防止法という法律があり、俊くんのお母さん、そして刈谷勇士はその犯罪においては有罪ということになる。


そのことを僕はできるだけ丁寧に、慎重に話した。


一度会った僕のことを覚えているようだった彼女は、話を聞きながら夫の不起訴に安どの表情を見せつつも、

自分の虐待行為には特に否定もせず、すんなり罪を認めたようだった。



有罪といっても、夫である刈谷勇士の仕事がなかなか安定しないことにイライラして及んでしまった行為だということ。

俊くん自身にまだ両親とやり直したいという気持ちがあるということ、


これは両親の努力次第だが、2人の今後の就職や生活環境さえ改善すれば十分家庭環境の修復が可能であるということから、


2人は有罪ということながら、罰金と生活環境安定のためにそれ相応の施設に入ることが条件付けされるということで話が付きそうである。


刈谷勇士のほうも、渋谷の話によれば、虐待の方もあっさり認め、

こちらも機会があればやり直したいと更生の態度があることから、母親と同じような処置がされるようだった。



今後のことは生活安全課の相葉くんと、俊くん家族の担当になる児童相談所の児童福祉士が担当になるらしく、

おそらく落ち着いたら僕の耳にも連絡が来るだろうと安心した。


俊くんは、両親が更生したことを認められない限りは、施設に入ることになる。

しばらくは面会のみ、徐々に家庭として復帰していくという流れになると思う。

俊くんとはさっきの会話の中で、両親ともう一度暮らす意志があることと、

しばらくの間、施設でしっかりとした生活を送ることを僕と約束した。



え？僕がそんなすんなり終わるかって？そんなわけない。

言っとくけど僕、渋谷が怒るのより怖いって自負してるから、刈谷勇士には渋谷が

母親には僕からしーっかりお灸をすえたよ。

事件ファイル42→←事件ファイル40

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す