【ウサビッチ】親の罪をかぶった少女 part２ (ページ18)

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刺傷注意ページ18

「(近くにあるもので殴って気絶させる？
だめだ、殴る前に気付かれてしまう。

警察を呼ぶ？…でも、電話をしている間この男がジッとしているはずがない。そもそも私がここにいることを知られちゃいけないんだ。

ボリスさんたちが帰ってくることを祈るしか…、)」

Aがぐるぐると必死に何かいい策はないかと頭を回転させていると、男が荷物を詰め込んだ袋を持って立ち上がった。

「…ふぅ、まぁまぁだな。

おい嬢ちゃん、この事は誰にも言うんじゃねーぞ。言ったら…」

そう言って男は近くにあったぬいぐるみの首をナイフで引き裂いた。

「っ！」

「じゃあな」

男は嫌な笑みを顔に張り付けながらAに背を向けた。

だめだ、このままじゃ逃げられてしまう。何とか隙をついてこの人を…。

「(今だ…！)」

男が自分の割って入った窓から出ようと窓枠に手を掛け気を抜いた瞬間、Aは近くにあった瓶で男の頭を思いっきり殴った。

中にはまだ中身が残っていたらしく、瓶のガラスが割れるとともに中身が飛び散る。

「…っぐ…、っ！て…てめぇ…っ！」

一瞬よろけ、倒れそうになったものの何とか体制を持ち直した男は血が出ている自身の頭を手で押さえながらギロリとAを睨んだ。

「あっ！」

「大人しくしていればいいものを…！」

危険を感じて後ずさったAの胸ぐらを掴むと、男はAを床に叩き付け、馬乗りになった。
身をよじって脱出を試みるも、足と腕を抑えられて身動き一つとれない。

「くっそ…！いてぇ…、殺さねぇで置いてやろうと思ったが…やっぱやめだ！」

「ﾀﾋねっ！」

そう言って男はAの喉目がけて腰に入れてあったナイフを振り下ろした。

ドスッ！

「あああっっ！！」

Aの鎖骨の下あたりで鋭い痛みが走った。じくじくと刺された個所が痛む。

どうやら男は頭の痛さで手元が狂ったらしく、Aの首ではなく鎖骨の少し下あたりを刺していた。そしてナイフが少し錆びついていて、あまり深くは刺さっていなかった。

「くそっ…！次は…っ！」

そう言って男はもう一度ナイフを構えたが、頭の痛みに耐えられなかったのか頭を抑えて横に倒れた。

刺されたAは男が気を失ったのを確認すると、何とか男の下から這いずりだし壁にもたれ掛った。

「―――――、」

ある人物の名前をポツリと呟いてAもゆっくり目を閉じ、気を失った。

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