愛して、俺らは消え去ろう。3【川村壱馬】 (ページ8)

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震えた声ページ8

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壱「え！あかり…」

一瞬、驚いたような顔をしたけどまた、いつも通りの表情に戻った壱馬さん

『こ、こんばんは。』

壱馬さんは、手に下げたコンビニの袋をテーブルに置いて、私の隣に座った

壱「俺、あかりに嫌われたのかと思った。」

『え？』

薄く口を開いて喋りだした壱馬さんの言葉は意外だった。

壱「ずっと、帰ってこないから俺に嫌気さしたかなって。」

『ごめんなさい！お友達とご飯に…』

壱「へぇ～」

『壱馬さん、お酒飲むんですね。』

壱「飲む時は飲むけど…今日は明日がオフだから飲みすぎた。」

『そのわりには、全然酔ってないですね。』

ちょっと、いつもより行動にキリがなくてふにゃふにゃしてるぐらいでいつもとあまり変わらない。

壱「お酒は、強いから。でも、今日は結構酔ってるかも…」

『なに、買ってきたんですか？』

壱「んー、レモンサワーとつまみ。」

『そうなんですか…』

壱馬さんは立ち上がって、テーブルに置いた袋を持って私にスナック菓子を渡してくれた。

壱「それ、やる。」

『ありがとうございます！！』

缶ビールの蓋を開けてゴクゴクと、飲み始める壱馬さん

壱「はぁ。」

『何かあったんですか？』

壱「最近、いろいろ上手くいかなくてさ。」

『そうなんですか…』

壱「お前が急に消えたのも本当に怖かった。」

『こ、怖い？』

壱「俺が、中学生の時ダチが死んだんだ。」

『え…』

壱「同じクラスの女子。俺は、そいつの事が好きだった。」

上を見上げ軽く目を閉じて話している。

壱「たしか…そいつは陸上部で帰宅部だった俺は、いつも帰る時にグラウンドの横をわざとゆっくり歩いてその子を見るってぐらいかなり変態だったし、それぐらい好きだった。」

『へぇ～、意外ですね。』

壱「ある雨の日、その子が傘を忘れたみたいで学校の玄関で雨が止むのを待っていた。当時の俺には、意気地が無くて声をかけるのを躊躇した。でも、他の男と一緒に帰ったらどうしよ。って馬鹿な事考えて、声をかけたんだ。」

『ピュアなんですか？』

壱「うっせぇ。で、やっぱりその子の声とか顔とか？大好きで、思ってたより明るくて気さくな子だった。その子を家まで送って、わざわざ遠回りして帰った。」

壱馬さんの表情が急に曇った。

壱「次の日、彼女は学校を休んだ。俺は今まで休まなかった彼女を、心配して学校帰りに家を尋ねた。」

壱馬さんがビールを1口飲んだ。

壱馬さんの声は震えていた。

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