どうにでもなる�� ページ25
まさか、まさか海とは。
ありえない話ではないけれど、いや本当にまさかだ。
「……おい、また顔色悪くな」
「さあ行きましょう！
依頼人の方はどちらに？」
訝しげな表情で霊幻さんは問おうとするが、食い気味に話題を転換させる。
これはもはや己との勝負だ。
勘付かれないうちに済ませてしまおう。
「いやはや、本日は遠方よりお越しいただき誠に恐縮です」
と、中年の男性――依頼主はそう言って頭を下げた。
依頼は、定番っちゃ定番だが"海水浴場に出る悪霊を祓ってほしい"というものらしい。
「私は通常業務がありますので、事前に申し上げた通り、よろしくお願いします」
もう一度頭を下げ、彼は去っていった。
「具体的にはどんな被害が？」
「何人か悪霊に足を掴まれた人がいるらしくてな。
まあなんだ、奴さんが出るまでは遊んでていいぞ」
その遊ぶのができないんですよねー！
とは言えず。
「ではお言葉に甘えて。
何かあったらすぐに呼んでくださいね」
「おう。せっかくの日曜日だ。
楽しんだってバチは当たんねえさ」
霊幻さんから少し離れ、私は砂の城の建設に興じた。
そして城が３回建ち３回無邪気な子どもに蹂躙され、４回目の建設に差し掛かった時。
「おいっ人が溺れてるぞーっ！」
平和を切り裂く悲鳴が響き渡った。
私は城を放り出し、そちらへ向かう。
霊幻さんが後ろから追いつく。
「いいな、人命救助が最優先だ」
「もちろんです」
手の震えを抑えながら、私は静かに力を込めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サーモニウム(プロフ) - ブラピさん» ありがとうございます！とても嬉しいです…！モブくんももうすぐ出てくる予定なので、楽しみに待っていていただけると幸いです！ (2019年6月25日 6時) (
レス) id: d876c6f450 (このIDを非表示/違反報告)
ブラピ - 小説とても面白いです！私はモブ君が大好きです！更新頑張って下さい！ (2019年6月25日 1時) (レス) id: e896eb0a17 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サーモニウム | 作成日時：2019年6月23日 23時
