悪磨くん~Fuma.K~

36：真実 ページ36

風磨「もう…いい加減にしてくれ…」





加恋「…」





風磨「なんであの日、Aと
一緒に居たんだよ」






加恋「…」





風磨「教えてくれ…頼むから」





加恋「もう終わりだね。」






風磨「…え？」






加恋「夏も終わりだね。」





病室の窓から吹き込む涼しい風に
髪を揺らしながら言う加恋。




夕日が病室に差し込んだ。





風磨「…」





加恋「あの日、風磨が倒れたって嘘ついて
Aちゃんを呼び出したの」






風磨「…っ」






加恋「あの子、息切らして走って来た。
風磨くんは…！？って。」






風磨「なんでそんな嘘…」






加恋「風磨は私のモノだもん」






風磨「…」






加恋「Aちゃんに渡したくなかった。
いっぱい意地悪なことも言ったの。風磨は
Aちゃんのことただのキープとしか
思ってないとか。」






風磨「っ…」







『あまり加恋ちゃんとは
仲良くしないでほしい…』






『私は…彼女なんだよ…っ』








あの日、泣きそうになりながら
俺に言うAが頭に浮かんだ。









風磨「…」







どうしようもない怒りがこみ上げた。
嘘をついた加恋にも、俺自身にも。







加恋「…ごめん」





風磨「…俺はモノじゃない。」





加恋「…」









風磨「もうここには来ねぇから。」





加恋「っ…待って…」







病室の扉に手をかけて立ち止まる。







加恋「…好きだったの。ずっと…」






風磨「…ごめん、好きな奴がいる」






加恋「なんでっ…。
私たちずっと一緒だったのに」






風磨「もう…いいだろ。
十分、加恋の言う通りにやってきた。
もう…解放してくれ…」





加恋「…」







ずっと縛られていた鎖をその日破った。

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