悪磨くん~Fuma.K~

30：遅刻くん ページ30

A「カバン…って…今来たの？」





風磨「そう」






A「遅い登校ですねぇ〜」






風磨「加恋の病院ｎ…」






A「…」






加恋ちゃんの名前を口にした瞬間
気まずい感じになる。





さっきまで普通に話せてたのに。






風磨「…お前さ、中島健人って知ってる？」








急に話を変える風磨くん。








A「…知らないけど」





風磨「…」






A「どうして？」





風磨「いや、知らないならいい。」





A「そう。」







私の教室の前に着くと積み重なった
重いノートをわたしに手渡した。







風磨「ほらよ」





A「あ、ありがとう」





風磨「ん」







そう言って私の腕にかかったカバンを
手にとって自分の教室に向かう。







A「ね、ねぇ！」





風磨「…ん？」





A「…」





風磨「…なんだ」






A「遅刻あんまりしないようにね」





風磨「お前は俺の担任か。」





A「し、心配してあげてるんだよっ」





風磨「はいはい、どうも。」








そう言って風磨くんは行ってしまった。
別れたけどそんな感じは全くしないほど
いつも通りな感じで話せた。






だけど私と風磨くんの間には
間違いなく加恋ちゃんという存在が
居るのは確かだった。









百合「Aちゃん！」





A「わっ」








遠くなっていく風磨くんを見つめていると
急に教室から同じクラスの百合ちゃんが
勢いよく出て来た。





持っているノートを落としそうになる。







百合「Aちゃん、菊池くんと仲いいの！？」






大きなメガネの下の目を輝かせながら聞いてくる。
私と風磨くんが付き合ってたこと知らないのかな。






A「仲良いって言うか…んー。」






返事に困っていると私の持っているノートを
ヒョイッと持って口を開く。






百合「私、一目惚れなの！」





A「えっ？」





百合「階段からね、落ちそうになったとき
菊池くんが助けてくれて…」






デジャヴ…。
最初の頃の私もこんなんだったんだ。







A「そ、そうなんだ」





百合「一度だけ菊池くんときちんと
話してみたいの！Aちゃんから
会ってもらえるように言ってくれないかな？」





A「え…えぇ…？」

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