こっち見てよ (ページ6)

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side You

聡「あ、あの！」

いつもの駅で電車をおりて
学校へ向かおうとすると誰かに呼び止められる

『…？』

聡「これ、昨日の切符のお金…」

『あぁ、』

彼の手からお金を受け取ろうとすると
彼は開いていた手のひらのお金をギュッと握りしめた

『返してくれるんじゃないの？』

聡「ここですんなり返しちゃうと
これっきりになりそうだから」

『は？』

聡「返す代わりに友達になってくれない？」

曇りのない笑顔を私に向けて笑う彼

『やだ。』

聡「えっ」

動揺する彼をよそに学校へ向かうが
案の定、納得のいかない彼は後をついてくる

聡「ちょっ、お金いらないの…？」

『そんな条件があるならいらない』

聡「なっ…」

私の後ろを歩きながら深刻そうに考えてから
また私の前に立ちはだかった

『どいて、邪魔』

聡「やっぱり、お金は返すよ！」

私の手に500円玉を握らせる彼

聡「助けてもらった側なのに
条件出すとか間違ってた、ごめん！」

そう言って頭を下げる彼は
それほど悪い奴でもなさそうだった

『…いいよ、友達になっても』

聡「えっ、ほんとに？」

『うん』

聡「じゃあこれ俺の連絡先ね！」

はしゃぐ子供のような笑顔で
紙切れを私に持たせる

聡「じゃあ俺、先行くね！また学校で！」

突発的で暑苦しい奴と友達になってしまったと、
少し後悔しながらも紙切れをポケットにしまい学校へ向かった。