〇30 ページ30
.
重岡さんに お話をして席に戻った時、
私の変化に気が付いてくれたのか
社長が "おつかれさま"と荒い文字で書かれた付箋と
温かいココアをデスクにトン と置いてくれた。
「ありがとうございます、…」
青『おん、あんま 無理すんなよ』
「…、はい。」
けど 一番辛いのはきっと 重岡さんで。
報われない気持ちをどこにぶつけていいか分からず 彼は叫んだ。
悲しむ その顔を私の脳に焼きつかせないよう
わざと後ろを向いたままで居てくれたのだ。
笑ってさよならができる人なんて ほんのひと握りで、
…そこに含まれない彼は その分想ってくれていたはず 。
誰かが自分を想ってくれた分、しっかり自分の幸せを作ろう と。
彼のおかげで気付けたこの気持ちを大切にしたいと 深く心に刻んだ
あれから少し経ち、
もうすぐ私の契約期間も終わりを迎える頃になった。
…社長とは 海外へ出張に行ったり 、新年度に向け新しい事業を立ち上げたりなどで 忙しく なかなか会えずにいた。
秘書として傍でついている選択肢もあったが、
数週間後には谷さん1人が支えるわけで 私が出る幕ではないと判断。
青『…本当に いいのか? 谷秘書だけ連れて行っても。』
「ええ、もちろんです。これからは谷秘書が付くんですから。」
青『そ、そうか… 』
「本当に大丈夫ですから、何も心配いりません。…気を付けて行ってきてください。」
と、少し渋った様子もあったし
青『A、元気か?忙しいみたいだな…また電話する。』
と、出れなかった電話には必ず留守電が残されてたり、
「…会いたいな」 と部屋で1人つぶやくと
藤井社長次の週末、帰国したら行きたいところがある。
承知致しました。
藤井社長なんとなく、Aが会いたいって言ってる気がした。
なんて 柄にもないメッセージを送ってきたり。
ちょっと、いや かなり楽しみにしちゃったり。
… 会いたいですよ、藤井社長。
.
402人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:早緑 ナツメ | 作成日時:2023年3月28日 17時