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藤井社長がお水を飲んでしばらくした頃、
「そろそろ、目も覚めたみたいですし 帰りますね」
青『…帰るんか』
「明日、朝また来ますので ごゆっくりおやすみください。」
青『…ああ。』
「では、失礼致します。」
と、リビングのドアに手をかけた途端
青『…待って。あと、10分だけでもええから まだおって。』
ソファから立ち上がって 社長はそう呟いた。
「…かしこまりました。」
さっき、小瀧さんに "流星のこと考えてやって"なんて言われてしまったから、意識したくないのに意識しちゃって。
相手は社長だ。ドキドキなんてしてはいけない、秘書として。
「…お水、新しいの持ってきますね」
沈黙を遮るように というか逃げるように。
でも、
青『ええから。隣座れ。』
という社長の言葉でまた沈黙が流れてしまう。
「…」
青『…明日、全部忘れて欲しい』
「… ?」
青『今から言うこと全部、明日には忘れろ ええか?』
「…はい 。」
そう言い、左手をそっと握られる。
青『今日、重岡と話しとるA見て 正直 俺の秘書やのになんで隣から居らんくなるねん みたいな。』
「…、」
青『俺の秘書やのに、俺のやぞって そればっかり頭にあってん。』
「…はい、」
青『けど、俺の秘書やのに って感じる相手はもうAやなくて、谷秘書なんちゃうん?って望に 言われてん』
「…、」
青『それ聞いた時、あれ 谷秘書にはそんなこと感じてないな〜って思ってん。Aだけ。もう辞めるんやし関係ないやんって、そん時俺も思った。』
「…はい、」
青『…気付いてしまったんよ、』
「…、?」
青『俺、A秘書が好きなんやって
…それも、秘書としてやなくて、A Aを 。
ひとりの人として。』
突然の告白だった。
藤井社長の瞳は少し 潤んでいる気がしたけれど、
きっとこれも、お酒のせい。
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作者名:早緑 ナツメ | 作成日時:2023年3月28日 17時