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(目黒side)


春とはいえ、
日が落ちてしまえば4月の寒さは異常なもので

電車通の俺らはこの寒い中まあまあ遠い道のりを歩いて帰らなければいけない

「うっ、さぶ、、」

目黒「マフラーとかしてこなかったの?」

「4月にマフラーしたら負けだね。
冬乗り越えられないでしょ」

目黒「ふふ、別に勝ち負けじゃないでしょ」

「いやこれはJKにとって日々の戦い、、ヘックチッ、、んだ」


負けてるじゃん。

可愛いくしゃみをして身体を震わせるAに心の中で突っ込みながら、

ポケットに隠し持っていたカイロを手に持って
Aの手を握る。

「ふあぁ〜」

目黒「ど?暖かいっしょ」

「カイロ考えた人天才だよね、賞あげたいもん」

目黒「こう考えるとかがくって偉大だよな」

「ねぇ、これさ、片手だけ凄いあったまっちゃって
逆にもう片手の冷たさが酷くなってる気がする」

目黒「えー?1つしかないよ〜、あ、じゃあさ、そっちの手でカイロ持って?」

「え?でもそしたらめめが」

目黒「そんでこっちの手はこう」

カイロを逆の手に持たせて、元々持っていた方の手を繋ぎながらカイロがずっと入っていたポッケに突っ込んだ

目黒「これならどっちも暖かいでしょ」

名案だとばかりに鼻を鳴らすと少し目を大きくしたAが、
ふふふふ、と笑いをこぼした。

目黒「…なんだよ」

「めめってそういうところあるよね〜」

そういう彼女はとても嬉しそうに靴を鳴らす

「普通さ、歩く立ち位置入れ替えればいいじゃん?

でもめめはさ、絶対私に車道を歩かせないよね」



そういうとこ好きだな、と嬉しそうにいう彼女を
色んな感情を含んだ目で見つめる。


目黒「俺も、Aのそういうとこ、好きだよ」

「どういうところよ〜」

笑いながら続ける彼女は、俺の視線に気づいてないみたい



ポケットの中の温もりに


春の寒さが愛おしくなった

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作者名:ふく | 作成日時:2024年1月12日 0時

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