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(渡辺side)



………もう、Aちゃんの顔、見てもいいのかな、、、



タイミングが上手く掴めず、花火が終わったあとの空をただ呆然と眺める。


誰も何も話さず、静寂の中、自分の鼓動の音のみが響く


耐えきれなくて、恐る恐るAちゃんの顔を見ると


悲しそうに、愛おしそうに、空を眺めていた。


「花火が終わったあとの空ってさ、」


渡辺「……ん?」


とても小さい声、ひとつも取りこぼしたくはなくて。

自分でも驚くほど優しい声が漏れる。


「可哀想だよね、」


目黒「………どうして?」



「花火が始まる前はさ、
 みんなまだかな、って期待の目で空を眺めるじゃん。


花火が始まってからももちろん楽しそうに眺めるしさ?


ドラマでも小説でも、花火が上がってる時の話ばっかでさ、


でも、花火が終わったあと、、
いつもと同じ、星が散りばめられた空に戻った時は、

もう誰も空を見上げてないんだよ?」


目黒「…花火の煙とかでちょっと汚くなってるしね、」


「…たまに、ふとした瞬間に見上げたそらだって、
誰かは綺麗ってつぶやくのに。

花火だって、人が勝手に打ち上げただけなのに。


……枯れた空を見て、
誰も綺麗って言ってあげないのは可哀想だよ」





渡辺「………うん、確かにね。」




「………愛でてあげたいな、、この空を、


花火が打ち上がったあとの、可哀想な空を


綺麗って思ってあげたい。」


目黒「………うん、そうだね。この空、綺麗だと思う」



ゆっくりと隣を見る。


Aちゃんの瞳に映る空の星々は


嬉しそうに輝いていて、



Aちゃんの見ている景色を、



俺も見たいと思った。






Aちゃんの瞳に、、俺は、







どう映っているのだろう

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作者名:ふく | 作成日時:2024年1月12日 0時

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