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(渡辺side)


なぜか、笑っているのに、どこか泣きそうな顔をしたAちゃんの頬に触れようとした時、



目黒「え、………渡辺?」

……デジャブ。


「あ、めめ。やっと終わったんだ」

目黒「…ん。おまたせ。」



Aちゃんが立ち上がる。



もう、行ってしまう



嫌だ、、



まだこの時間に留まりたい。



思わずAちゃんの白くて細い腕を掴む


「わっ!!…渡辺くん??どうした?」


入学式の時には絶対見せなかったその目、



俺を心配しているような様子のAちゃんに、



俺の顔を覗き込むその大きな瞳に、


長いまつ毛に、


シャンプーのやわらかい香りに、





また、胸の中の淡い感情が加速する。




もっとAちゃんの目に映っていたい。



近づいていたい。






掴んでいた腕をパッと離す。



渡辺「…んーん、ごめん、なんでもないよ、」

「そ?」

目黒「……」



「渡辺くんは帰らないの?」

渡辺「…あー、俺はまだここにいよっかな、」


「そっか。じゃあバイバイ」

渡辺「………ん。ばいばい。」


ふたりが出ていって、

俺だけがひとり残った教室。


ところどころにAちゃんのおとをとりこんだこの教室は

今は俺の呼吸音しか聞こえなくて、


辛かったのに、動けなかった。


目を瞑ると、さっきまでのAちゃんの

表情が、匂いが、歌声が蘇ってきて、

慌てて目を開いた



ふと見た空は、




渡辺「……あ、ブルーモーメント」







この深い深い青が

おれを吸い込んでくれればいいのに

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作者名:ふく | 作成日時:2024年1月12日 0時

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