空に好きを綴るあなたへ【青×黒】 (ページ23)

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(渡辺side)

…ふと、あまりにも静かすぎて、Aちゃんが居なくなったのではと心配になり顔を上げると、

Aちゃんはずっと、綺麗な空を眺めていた。

その横顔はやはり綺麗で、今度は至近距離からまた眺める。

さすがに今度は見られていることに気づいたのか、
空から視線を動かさないまま、Aちゃんは話し始める。

「…私さ、この空好きなんだよね」

Aちゃんと同じように、俺も空に目を向ける
さっきまで真っ赤だった空は紫や青を含み、
多くの色を混ぜた絶景となっていた

「…マジックアワー。」

聞きなれない言葉にゆっくりとAちゃんに視線を戻す

Aちゃんの目には、いつもより水分を多く含んでいるような気がした

渡辺「マジックアワー？」

「うん。薄明とも言うんだけどね、、

一日で最も空が美しい時間。

…私が1番、好きな時間。」

渡辺「……。」

「この後にはブルーモーメントって言ってね、昼間より深い青になるんだよ」

どこか儚く、消えてしまいそうな表情をしながら言葉を紡ぐAちゃんから目が離せなかった。

一瞬でも瞬きをしたらどこかに消えてしまいそうで、

触れたら壊れてしまいそうで。

「…綺麗だよね」

やっとこちらに視線を戻したAちゃんは、
ふふ、と声を零しながら柔らかい笑顔を俺に向けた

渡辺「うん。……綺麗だね」

ほんと、時間が止まってしまえばいいのに。