完璧王子くん【男主】 (ページ3)

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お母さんに連れていってもらったジャニーズのライブで見た

背の小さい綺麗な声の男の子は、誰よりもキラキラしていて

俺も彼の隣で歌いたい、踊りたい、一緒にキラキラしたい

と、強く思った。あんなに激しい感情は生まれて初めてだった。

ライブが終わってすぐ、お母さんにジャニーズに入りたいと

伝えるとそれはもう、泣いてしまうんじゃないかと言うくらい

嬉しそうだった。

きっと俺が自分から何かをしたいというのが初めてだったから。

そこからはほんとに早かった。

末澤誠也くん(という名前らしい)の横に立つのに

今のままオーディションを受けるなんて恥ずかしい。と、

ボイトレ、ダンス、楽器など様々な習い事を再開した。

先生たちから太鼓判をもらえるところまで成長し、

オーディションを受け、見事合格

Aぇ! groupになることもできて、末澤くんと同じグループになれて、すごく嬉しかった。

でも、、でも俺は選ばれてAぇ! groupに入った訳では無かった

オーディションで憧れの先輩を聞かれた時に時に言ってしまったのだ。

｢末澤誠也くんに憧れて、同じグループに入るためにオーディションを受けました。｣
｢同じグループに入れなかったら辞めます。それくらい末澤誠也くんが好きです。｣と。

今思うとこんな横暴な発言、落とされていたっておかしくなかった。

ただ、頑張ってきた成果が実ってしまったのだ。

歌も踊りも楽器も、ジャニーズに必要なスキルは

全て俺の武器と言えるほど磨いてきてしまった。

あんな発言をしても落ちないほどに

俺はジャニーズとしての理想像に近かったのだ。

そして、その言葉は、事務所に対する脅しになってしまった。

入所からAぇ! group結成まで8年。

それまでの間に俺は関ジュの中でもトップクラスに

人気になってしまったから。

俺を辞めさせる訳には行かない事務所は、

俺をAぇ! groupに入れざるを得なかったのだ。

俺だけが選ばれた訳では無くわがままでAぇ! groupにいる。

そんな胸のしこりが残ったまま、

Aぇ! group結成1周年を迎えようとしていた。