”家族を探すために”【MHA×ワンピース】 (ページ31)

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「前々から名字は同じだったからまさかとは思ってたがな…。……で…どうした。なんで泣いてる」
「……べつに。もうよくなったから」
「…………そうか。まぁ先生に何か出来ることあったら言ってくれよ」
「…ん」
「あぁそれと、昨日緑谷達が行ったショッピングモールにヴィラン連合が居たらしい。お前も気をつけろ」
「ん。…………先生は、何してたの」
「食料調達の帰りだ」
「んなサバイバルしてるみたいな言い方……なんか袋からゼリーとパンとおにぎりしか見えないんだけど」
「作業しながら食べれて合理的だろうが」
「……ハ…………栄養失調で倒れんなよ」

…深入りしてこないのは正直助かった。

マンションの部屋に入って時計を見ると７時を過ぎていた。
確か店を出ようとしたのは５時前。ショッピングモールから家までは歩いてせいぜい２０分程度しかないので、最低でも１時間は突っ立っていた事になる。

……”かぞく”の元には行く気になれなかったので「約束すっぽかしてごめん」と「今度戻るから打ち合わせしといて」だけ伝えて布団に倒れ込む。

向こうは、自分の事をまるきり覚えていなかった。

世界を渡った時の障害なのか、それとも悪意を持った人間が人為的に自分の事を忘れさせたのかは分からない。
でもこれからもきっと分からない。なぜなら今日会ったのは偶然でしかないから。毎日絶対に会えるっていうのなら、そりゃ確かに原因を見つけるくらいわけないけど。

もう会えないだろうから。
何も出来ないから。

いつの間にか寝ていたらしい。

夢には家族達が出てきた。

もう、家族でもなくなってしまった、彼らが。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

朝。
ショッピングモールにヴィラン連合…正確には死柄木弔が出現したことから向こうさんの動きを警戒して、例年使っていた合宿先をキャンセルの上行き先は当日まで明かされないことになった。
だからってしおりを破くほどでは無いと思うんですが。

「もう親に言っちゃってるよ」
「故にですわね……話が誰にどう伝わっているのか学校が把握できませんもの」
「合宿自体をキャンセルしねぇの英断すぎんだろ！」

合宿は無くならないが行き先は変わる。

あと、学校側から夏休みの長期の外出の自粛要請が出た。

それだけ言われて、大波乱の一学期は幕を閉じた。
……高校生活が、こんな形で終わることになるとは思わなかったけれど。