弐拾参話 ページ25
「人面蜘蛛なんですけど!人面蜘蛛なんですけど!夢であれ!夢であれ!夢であってくれたなら、畑を耕します!一反でも二反でも耕して見せる!」
善逸君が全速力で駆けて行くのを必死で追い掛ける。それにしても動きが速い。すると突然善逸君は止まった。
「だから!...悪夢から覚めてくれえええぇぇぇえぇぇ!」
今度は善逸君がこわばった顔で上を見上げた。視線の先を追うと、そこには蜘蛛になりかけた何人もの鬼殺隊士が宙に浮いていた...いや、糸でぶら下げられている。と、上にあった小屋がみしっと音を立てた。
「ひっ!」
恐怖のあまり体が根を張ったように動かない。言葉も出てこない。ただただ思いだけが頭の中でぐるぐる回っていた。小屋の中から、もう一度みしっと音がして、大きな蜘蛛が出てきた。下手したら私より大きいかもしれない。
「ニヒッ」
その蜘蛛は口角を上げて笑った。その動作一つだけで、体どころか頭も光を見ているみたいに真っ白になった。
「お前みたいな奴とは、口きかないからな!」
善逸君が反対方向に駆けて行く足音が聞こえる。私はここでこの蜘蛛に殺されて生涯を閉じるのだろうか?
「逃げても無駄だぞ。お前はもう負けてる。」
「何適当な事言ってんだよ!良いから話し掛けんなよ!」
ただ、無意識の中善逸君と蜘蛛の会話が聞こえてくるだけだ。私は何も出来ずにその場に立ち尽くしてるだけだという事に、心が焦りを感じる。
「もう分かってんだろ?ヤバい事になってるって。」
「どういう事?!」
「手を見てみろ。」
「は?手?手がどうしたって...」
そこで何も聞こえなくなったように静かになった。動けない中耳を澄ませば、善逸君が息を吞む音が聞こえた。
もし善逸君に何かあったら...
そう思ったら体がやっと動いた。さっと刀を手に取って地面を蹴り、蜘蛛の頸目掛けて刀を振るった。が、次の瞬間、蜘蛛の口から毒が吐き出される。それをぎりぎりのところでかわして、地面に着地した。
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ドリーム - シルバーウルフさん» しばらく考えてみたのですが、私には少し難しそうです。折角考えて頂いて申し訳ないのですが、色々と諸事情があるため、そのお話は書けなさそうです。すみませんm(__)mこんな事言っておいてなんですが、これからも読んでいただけると幸いです。 (2021年2月11日 16時) (レス) id: c19869b9be (このIDを非表示/違反報告)
ドリーム - シルバーウルフさん» リクエストありがとうございます!もし万が一他の方のリクエストがあれば、そちらも見て考えたいと思います! (2020年12月25日 21時) (レス) id: c574f6dd30 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 人間の姿の時は言葉を喋る。 (2020年12月24日 12時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - ネコの時の姿は白銀色の毛並みの猫だから、人間の姿の時も白銀色のケモ耳と尻尾がある。名前がないため善逸に名前を付けてもらう。(^ω^)(^o^)v(*^^*) (2020年12月24日 12時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 人間の姿にもなれるけど、、、ケモ耳と尻尾がある人間の姿。 (2020年12月24日 12時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドリーム | 作成日時:2020年9月20日 14時