チートではありません ページ8
そらるside
主人と従人の2対1という異様なチェスの勝敗は、あっけなく決着がついた。
開始5分程度で、後手の黒駒、つまりAが志麻様とセンラ様相手に勝ったのだった。
チェスのルールは極めて簡単、「チェック」と呼ばれる相手のキングを自分の駒の効きに入れる手をかけ、相手が次の手を指してもチェックの回避ができない状態にした側が勝利。
ルール自体は簡単なのだが、いざやってみるとなるとこれがまた難しい。
チェスは、どう相手を欺くか。
非常に頭を使う心理戦の一種なのだ。
………なのに。
Aは、いとも容易くあの二人を打ち負かした。
浦田様や坂田様も、目を見開いてそれを見ている。
その中でも一番驚いていたのは、敗者の志麻様とセンラ様だった。
Aがチェックメイトした後の沈黙を、自身が破る。
『……それでは、勝敗もつきましたので、ティータイムにいたしましょう』
そう言ってAは立ち上がり、恭しく頭を下げると、猫のような瞳をさらに細めて、目だけで笑った。
志麻様とセンラ様は生気を失ったような表情のまま、チェスボードから逃げるようにこちらにやってきて、ソーサーの前に腰を下ろした。
二人が手を伸ばして口をつけたティーカップは、もう湯気も出ていなかった。
Aside
あー楽しかった。
志麻センのお二人とチェスをして、勝った後の第一感想はそれだった。
本当に楽しかったな、最近チェスしてなかったし、二人ともそこそこ強いし、面白かった。
また今度何らかの口実を作って一緒に遊ばせてもらおう。
そうだ、今度は浦坂のお二人も合わせて、4対1の勝負はどうだろうか。
なんて考えていると、「……すげぇな」と、浦田様がぽつりと呟いた。
不思議に思って浦田様の方を見ると、浦田様も私の方を見ていた。
っていうか、浦田様だけじゃなくて、他3人も。
何故かそらるさんまで私の方を見ている。
ん？なんだ？
首を傾げると、志麻様とセンラ様が盛大な溜息をついた。
あ、幸せが逃げちゃいますよ。
し「ほんっまに、お前Aなんやねん強すぎひん！？」
せ「執事なんやからちょっとは手加減してもいいんちゃう！？チートか！！？くっそ！！！」
『あ、センラ様、言葉遣いが汚いですよ、ご注意を』
せ「そういうとこやで、ほんまそういうとこ！！！」
きぃぃぃいいい！！！と、センラ様は言葉にならない悲鳴を発する。
………うるさ()
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kne(プロフ) - 続き楽しみです。 (2021年9月14日 0時) (
レス) id: ee34aec55d (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - リスさん» リスさんなんですね！私はこたぬですが基本的に箱推しです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ぱるむさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません汗 ありがとうございます！ 今リメイク版を作成している最中なので、もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ランデブーさん» ありがとうございます！そう言ってもらえてとても嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
リス - 私も志麻リスです！ (2021年6月24日 22時) (レス) id: 016461b9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる | 作成日時：2020年7月30日 16時
